グルテン関連疾患の原因となる
グルテンとは何でしょう?

グルテンについて説明する図

<グルテンとは?>

グルテンは
小麦 大麦 ライ麦などの穀物の胚乳にあるタンパク質
小麦タンパクの85%を占めています

穀物の内部のグルテンの存在場所を示した図

水に難溶性で 弾力性 粘着性があり伸びる成分です

食物をフワフワに膨らませ 
モチモチした食感を出させます

最近の小麦は 品種改良により
グルテンの含有量が増えているので厄介です


@グルテンを含む食材

パン ピザ パスタ 
うどん ラーメン そうめん そば
ケーキ クッキー 
ドーナツ マフィン パンケーキ
お好み焼 中華まん 餃子
シリアル カレーのルー
フライ 天ぷらの衣

グルテンを含む食材のリスト

日常の食生活で頻繁に使う食材が多く
全粒粉のパンやパスタにも含まれているので要注意です

ジャガイモ コーン 
米 大豆などは グルテンフリーです

また 上記の食材以外にも
麦茶 ビール 醤油 アイスクリーム ケチャップ
などにも含まれていて
意識しなくても 知らぬ間に摂取していることが多い

整髪料 化粧品に含まれている場合もあります


@グルテンを構成するタンパク質

小麦は
グリアジンとグルテニン

グルテンは
グリアジンとグルテニン

の2種類のタンパク質が絡みあってできています

グリアジンとグルテニンに水を加えてこねると
両者が絡みあって 粘り 弾力があるグルテンになります

グリアジンとグルテニンが絡み合いグルテンができることを示す図

また
大麦は ホルデイン
ライ麦は セカリン
が グルテン関連疾患の原因物質になります


@分解されにくく 腸粘膜の炎症を起こしやすい

上記のグルテンを構成するタンパク質は
アミノ酸のプロリン グルタミンの含有率が
高いのが特徴です

ところが
ヒトの胃液 膵液 腸管粘膜にはプロリンの消化酵素がないため
グルテンのタンパク質は消化されにくく
そのままの形で小腸の粘膜上皮細胞から吸収されます

そうするとアミノ酸に分解されていないので
免疫系を刺激して炎症を起こしてしまいます

グルテンが消化管粘膜で免疫反応を誘導することを示す図

こうした機序により 消化管粘膜に炎症が起こり
消化吸収障害が起こるので
下痢や吸収障害などの消化管症状が生じてくるのです


@中毒性がある

また グルテンのタンパク質のアミノ酸配列は
トリプトファン フェニルアラニンの間に
プロリンが並んでいて
モルヒネに類似しています

ですから中毒性があると推察されています

一方 グルテン関連疾患の患者さんは
腸が弱いという特徴があります

<腸が弱い>

腸粘膜は
消化管に入ってきた外からの侵入物を最初に受け入れる場所です

消化管が侵入物を処理するには いくつかの仕組みがあります

@消化管粘膜のバリア機能

一般に 侵入物=抗原は
消化管粘膜から分泌される粘液に包み込まれて排出され
粘膜に存在するIgA抗体がバリアとして働きます

粘膜に存在するIgA抗体がバリアとして働くことを示す図

このバリア機能が低下すると
侵入物=抗原が 腸粘膜を潜り抜けて血中に侵入してしまいます


@リーキーガット症候群

腸粘膜の目が粗くなると
侵入物が大きな分子のまま腸管粘膜を通り抜けて血中に入るので
アレルギー反応を起こしやすくなります

リーキーガット症候群の病態について説明する図

こうした病態を リーキーガット症候群と呼びます


@小腸での消化酵素の働き

小腸での消化酵素の働きにより
抗原がアミノ酸にまで分解されれば
抗原性=特性がなくなり アレルギーを起こしません

しかし消化酵素の働きが悪く充分に分解されず血中に入ると
アレルギー反応が起こってしまいます


@腸内細菌叢の関与

腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると有害物質が発生するので
腸粘膜の機能が低下して 腸での炎症が引き起こされます

こうした状態は
抗生物質 人工甘味料により生じる
腸内細菌叢のバランスの乱れにより起こってきます

グルテン関連疾患の患者さんの腸では
往々にしてこのような現象が起きています
高橋医院