多因子疾患としての生活習慣病
個人向け遺伝子検査 もう少しイントロダクションを続けます 糖尿病 高血圧 脂質異常症などの生活習慣病には 共通点があります もちろん内臓脂肪の蓄積による肥満が 関与することは言うまでもありませんが これらの病気は 発症進展に多くの要素が関与する多因子疾患 です 世の中の病気を 遺伝か環境か? という視点から見ると 3つのグループに大別されます @遺伝因子だけで発症が規定されてしまう病気 遺伝子疾患と呼ばれるもので 染色体やひとつの遺伝子の異常だけで 病気になってしまいます 筋ジストロフィー 種々の代謝異常症 血友病 ダウン症 などがその代表例です @遺伝は全く関係せず 環境の影響だけで発症する病気 食中毒 高山病 大気汚染により生じる病気 ウイルス感染症 などがその代表例です @しかし病気のほとんどは 発症に遺伝因子と環境因子の両方が関与する多因子疾患です 生活習慣病をはじめとする慢性疾患は まさに典型的な多因子疾患なのです 「病気A」にかかりやすい遺伝因子を有する人が 「病気A」が発症しやすくなるような 環境因子のもとで生活していると その人は「病気A」を発病してしまう 生活習慣病の発症進展に関与する環境因子は 多くの患者さんが日夜格闘されている 脂分や糖分が多いカロリー過多の食事 肥満 塩分のとりすぎ 喫煙 過度の飲酒 睡眠不足 ストレス 運動不足などです 当院の生活習慣病の解説パンフレットでは 「遺伝要因は改善できませんが 生活習慣は改善できます」 と しつこく(笑)コメントしてあります たとえ病気になりやすい遺伝因子を有していても 環境因子の改善を心掛ければ発病しなくて済むのです 両親が糖尿病で遺伝因子バッチリの書き手も 日々の生活で環境因子の改善を一応心掛けているので 未だ発症せずに済んでいます(苦笑) では 多因子疾患の発症にかかわる遺伝因子とは何か? 個人向け遺伝子検査の多くは ま さにそこを解析しており それこそが遺伝子多型でありSNP(一塩基変異)です 次回は この遺伝子多型やSNPを理解するために必要な 遺伝子の基礎知識について解説します
高橋医院