糖尿病性網膜症とは
今日は 糖尿病の眼の合併症 糖尿病性網膜症 について説明します <糖尿病性網膜症とは?> @眼球の奥にある網膜の血管が 長年の高血糖によって障害を受けて生じる 合併症です *網膜は 眼球の奥にあり カメラに例えればフィルムにあたります ですから ここに障害が生じると 視力などに問題が起きてしまいます @糖尿病の合併症の中でも 最も深刻なもののひとつで 治療が困難で 最悪の場合失明に至り 失明原因の20%ほどを占めます <糖尿病の発病後から網膜症発症までの時間> @4年くらいから 10%程度に発症し始め 5~9年で 発症率は30%に至ります @血糖コントロールが不良の場合は より早くあらわれ 血糖コントロールがよい場合では 何年たってもあらわれません <網膜症発症のリスクファクター> *罹病期間 *BMI *HbA1c *収縮期血圧 が挙げられています <糖尿病性腎症 大血管障害のリスクファクターになります> 網膜症があると 冠動脈疾患発症リスクが2.07倍 脳卒中のリスクが2.34倍に増えます <病期と症状> 網膜には 毛細血管がたくさん分布していて 高血糖を放置していると血管が破綻して 出血などが起こり 次第に自覚症状が現れてきます @単純性網膜症 血管が破綻して 血液成分が外に漏れだす状態で 毛細血管に瘤のようなものができたり 網膜内に限局した出血や白斑などがみられます この段階では 視力に影響を及ぼすことは少ないため ほとんど自覚できません 自覚症状がなくても 早目に眼科を受診して この時期に血糖コントロールをしっかり行えば 軽快 回復することもあります @前増殖性網膜症 血管が詰まる状態で 網膜の表面にある血管が閉塞し虚血が起こり 白斑が多発するようになり 進行すると 病変の数が増え 比較的大きな出血も出現します ここまで進むと きっちり治療しなければ 進行をくい止めることが難しくなるのですが それでも自覚症状がない場合が多いのです 病変の出現部位によっては 視力低下や視野異常を 自覚することがあります @増殖性網膜症 網膜表面 硝子体のなかに 新生血管が作られる状態で この段階になると 衝撃や血圧の急激な上昇をきっかけに 血管が破れて大出血し 網膜前出血 硝子体出血 網膜剥離などの 重篤な状態になってしまいます 治療は非常に困難になるので こうなる前に光凝固などの治療で 予防しなくてはいけません このように 網膜症は 静かに自覚症状なく進行する場合が多いですから 自覚症状が出る前から 定期的に眼底などの検査を受けて 早期発見につとめること 血糖値のコントロールをしっかり続けること が大切です
高橋医院