ある国から来ている 当時40代ぐらいの白人の男性がいました。

糖尿病があり、2ヶ月毎にいらっしゃるのですが、自由で不規則な通院でした。

たまに、1年ぐらい来ないこともあったり。

日本には、もう10年以上住んでいるとのことですが、日本語はしゃべれません。奥様は、日本人で離婚したとのことでした。

いつも、外来で職業が変わります。証券会社に勤務しているとか、英語の先生だとか無職とか、輸入業をしているとか。

採血では、いつも糖尿病の値が問題です。肝機能には問題がありませんでした。

時々中性脂肪が高かったので、お酒を飲むかを伺いましたが、何度伺っても飲まないの一点張り。

たしかに、肝機能は問題ありませんでした。

きちんとスーツを着てくるときと、浮浪者みたいによごれたシャツで現れるときも。

ナゾの外人でした。

だんだん救急外来の受診が増えていきました。

1回は、“外人だ”といわれて、背中を刀で、中学生に切り付けられたとか。

しかし、確かに背中に傷はあるものの、事件になっていないし、刀で傷つけられた感じではなさそうな。

交通事故で、頭を打った と来たことも。でもやはり警察は入っていなくて、??

友人に薬をのまされたとか、それ本当?というエピソードがいくつも重なり、前妻にお越しいただいたり・・

前妻に伺うと、アルコールは、そんなに量は多くないとの情報。多くない??

飲むんだ!と確信。コルサコフだ!と確信。

コルサコフ症候群とは、アルコールなどでビタミンB1などが欠乏し、脳がやられ、認知症となり、作話をしてしまう病気です。

ある意味嘘つき病です。本人にはその自覚はないです。

その後、ビタミンB1を処方し、アルコール飲んじゃだめというものの、

ある日、かなり重症の急性膵炎で救命救急に運ばれ、とうとう帰天されました。

数日後、母国から実父が来日されました。

おめにかかり、日本での状況をお話しして、アルコール依存ではなかったかを、伺ったところ、アルコール問題を抱え、

母国では仕事ができず、日本に来日していたこと、死んでもこれはしょうがないのだと父。

切なかったです。アルコールがばれないないように、臭いのないジンなどを選んでいたとか・・

 

元日本人妻、偉かったです。離婚してるのに、乗りかかった船ですからと、最後まで面倒をみてあげて、医療費までお支払いしておられて、責任感に頭が下がりました。

結婚してから、肝臓専門医さんが飲んだワインのコルク!

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高橋医院