当院は 
近隣の会社にお勤めの女性の方がよく来院され

膀胱炎で来られる方も 多くおられます

膀胱炎症状で悩む人

特に 最近のような寒い時期 
夏にクーラーが効いている時期
季節の変わり目 
などに多い

そこで 膀胱炎 について解説します


膀胱炎は 
通常の状態では細菌などいないはずの膀胱に 
細菌が侵入して
そこで炎症が起きることによって生じる病気です

膀胱炎が生じる機序の説明図


<症状>

頻尿 
排尿時痛・排尿時違和感 
残尿感 

が3大症状です

膀胱炎の症状をまとめた図

@頻尿

初期から認められる症状で
尿をしても 
すぐにまた尿意を感じてトイレに行きたくなってしまい
1日に10回以上トイレに行くことも珍しくありません

膀胱炎の炎症により
膀胱が過敏になり
大脳に誤って排泄を促す指令が送られるために
生じる症状です

@排尿痛 排尿時違和感

排尿の最後の方 排尿後に 
つーんとした しみるような痛みがある
と表現される患者さんが多いのですが

細菌感染により 
膀胱の内側が敏感になっているために起こる痛みです

@残尿感

膀胱炎が悪化すると認められるようになる症状で

トイレで尿を出したにも関わらず
まだ膀胱内に尿が残っているような感じがします

これも 炎症によって膀胱が過敏になっているために
現れる症状です

膀胱炎の進行に伴う症状の変化についてまとめた図

下腹部の痛み 違和感 鈍痛 張った感じ
などを訴えられる患者さんも
少なくありません

また ご自分で 
血尿尿の混濁・濁りに気がつかれたり
尿の臭いがきつくなって心配 
といった理由で来院される方もおられます

比較的稀ですが
尿意を感じてもトイレに間に合わない
トイレに何とか間に合っても 
下着を下ろしている間に漏れてしまう
といった症状で来られる方もあります

こうした症状は 切迫性尿失禁と言い 
膀胱炎でも見られます

<診断>

膀胱炎の診断は比較的容易で

上記のような症状がある方に 
その場で試験紙を用いた尿検査を行い
白血球 赤血球 細菌などがみられれば 
膀胱炎と診断されます

1~2分以内に 
あっという間に結果が出ます

試験紙による尿検査の写真


<治療>

膀胱炎の治療は 
抗生剤による薬物療法が基本で

抗生物質の写真

3~7日間の薬物投与で
きちんと処方された薬剤を飲みきれば 
短期間で治ります

ほとんどの場合 
飲み始めて1~2日で症状は落ち着きますが

そこで自己判断で服用を止めてしまうと 
再発することがあるので

再発を防ぐため 
決められた期間しっかり内服を継続することが大切です


決められた期間しっかり内服を継続することの重要性を示す図

膀胱炎の原因として最も多くみられるのは
グラム陰性桿菌という種類の細菌で

最も多いのは大腸菌で約80%

膀胱炎の原因となる最近の種類と頻度についてまとめた図

黄色ブドウ球菌 セラチア菌 プロテウス 肺炎桿菌 腸球菌
なども原因菌になります

クラビットに代表される 
 ニューキノロン系

*パンスポリンやフロモックスなどの 
 セフェム系

*サワシリンやビクシリンなどの
 ペニシリン系

などの抗生剤が使用されますが 
ニューキノロン系が高頻度に使われます

ニューキノロン系の写真

3~5日の内服治療で改善がみられない場合
原因菌が投与した抗生剤に効きにくくなっている
(耐性化している)可能性があるため
抗生剤の種類の変更が必要となることもあります

<腎盂腎炎への進展>

上述したように 
膀胱炎は適切な治療ですぐに改善しますが

膀胱炎の原因となる細菌が
腎盂(腎臓から作り出された尿が集まり 膀胱につながる部分)
へ侵入すると
腎盂腎炎を起こしてしまうことがあります

腎盂腎炎を起こす機序を示す図

腎盂腎炎を起こすと 
38度以上の高熱や悪寒 腰痛などの症状が現れます

通常の膀胱炎では 
こうした症状が見られることは稀です

腎盂腎炎は 
きちんと薬物療法を行えば予後は良い病気ですが
そのまま放置すると慢性化し
最悪の場合は腎不全へ発展することもあります

膀胱炎症状が見られても 
我慢して受診されない方もおられますが

発熱 腰痛などが出てきたら 
すぐに医療機関を受診するようにしてください


高橋医院