夜の美術館で国芳のネコ絵を楽しんだことを
ご報告しましたが

あのあと 糖尿病専門医さんが 
横浜そごうで開催されていた
「あそぶ浮世絵 ねこづくし」展に行かれて
たいそう面白かったそうです

広重や国貞も 
ネコの絵を意外にたくさん描いていたとか

そうなのか~と思っていたら 
本屋さんでこんな本を見つけました

ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか

「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」という文庫本の表紙

この本 面白かったです

現在の日本の 
過剰ともいえるネコブームの 
背景にあるものは何か?

作者はこの問いへの答えを得るために
まず イヌ好きだった歴史上の人物にはどんな人がいて
その人たちは 
なぜネコよりイヌを好んだのかを分析します

イヌ好きだった歴史上の人物(飼っていた種類)は

西太后(ペキニーズ) 
ヴィクトリア女王(コリー) 
蒋介石(シェパード)
チンギス・ハーン(高地犬・チベタン) 
プーチン(ラブラドール)

そして アドルフ・ヒトラー(シェパード)

犬をかわいがるヒトラー

独裁者的な指導者たちは 
おしなべてイヌ派だったそうで

彼等が支配した社会は 
忠誠 従順 服従 上意下達を尊ぶ
いかにもイヌ的な世界観が支配する社会だったと

なるほど なるほど

トルコのあの方も ワンコ好きかな?(笑)

では ヒトラーは なぜイヌ好きだったのか?

ちなみに彼は 
自決したときに飼い犬も道連れにしたほどの
相当のイヌ好きだったそうです
(ワンコ 可哀そう!:笑)

で 彼は イヌという存在の背後に
生存競争を勝ち残り生き抜いた象徴としての
狼やイヌを見て

また 
彼が理想として追い求めた
規律 忠実 従順を善しとする価値観を持つ
アーリア人の姿を
見ていたに違いない

と 筆者は分析します

ナチスが示した人種差別の図

それ以外にも

狼を忌避し自らを羊になぞらえることが多いユダヤ人を
見下すが故の
狼 イヌ崇拝だったとか

ヒトラーは
森に代表される自然を崇拝する
ドイツ・ロマン派文化に心酔していたので
森に暮らす狼に 
なおさらシンパシーを感じていたのではないかとか

なかなか読んでいて
ニヤリとしてしまう分析もしていて 面白い(笑)

ロマン派と森を結び付けて
それを当時のヨーロッパ社会における 
ドイツの精神的後進性と絡める

そんな筆者の論の流れは 
個人的にはツボにはまって好みです(再笑)
(このあたりは 
 いずれ稿を改めて語ろうと思います)

でも こんな風に書かれたら 
イヌ好きの方は
「俺はヒトラーと同じではない!」 
と怒られますよね(笑)

ちなみに 
ヒトラーと対峙したチャーチルはネコ派だったそうな!

そうだったんだ~ 知りませんでした

ネコをなぜるチャーチル

そうそう ヨーロッパにおけるネコに関しては

中世に盛んに行われた魔女狩りで 
ネコ 特に黒ネコが
魔女の化身と見做されて悲惨な扱いをされたこと

が書かれており

月夜の魔女と黒ネコ

ヨーロッパ文化史としても 読み甲斐がありました

魔女狩りでネコがたくさん殺されてしまったために
その後のペスト禍のときに 
ネコがネズミを退治できなかったので
ペストによる死者数があんなにも増えたのであろう

なんて 興味深い考察もされていました

で 筆者は論を進めて
日本の歴史におけるネコ文化の検討を
されているのですが

長くなりそうなので 続きにします
高橋医院