砂糖社会と食の教育
中央区・内科・高橋医院の 健康のための栄養学に関する情報 映画の中では 砂糖と社会の関わりについても描かれていました まずデイモンさんは 祖国オーストラリアの先住民 アボリジニの居住地を訪ねます アボリジニは 自給自足の生活をしていて 砂糖は1日に飴玉1個分ほどしか 摂取していませんでしたが 白人が居住地に侵入して来てから 状況が一変します 白人たちによって 砂糖の魅惑を教えられてしまったアボリジニは やがて オーストラリアでいちばん多く コカ・コーラを消費するようになり スーパーなどでお惣菜を購入して 食べるようになります その結果 肥満 糖尿病 心筋梗塞の患者さんが急増し 多くの人たちが50歳前に命を落とすようになり 現在も 糖尿病性腎症で 透析生活を余儀なくされている方が多いとか ここで強調されるのが 食の教育の重要性です アボリジニの食生活 生活環境の変化 それにともなう健康動態の変化を危惧した政府が 砂糖の過剰摂取の恐ろしさについて キャンペーンを行い 学校などでも 加工食品よりもナマの食材を食べ 砂糖摂取量を減らすことの重要性を教えたところ 状況は改善し 一時期 糖尿病患者さんも減少しました しかし 予算の削減で 学校に派遣される栄養士などが減ると また元の状況に戻ってしまったとか 西洋文明の先住民族社会への文化的蹂躙は 新大陸の発見以来 連綿と続けられてきたことですから これ以上掘り下げても 似たような論調の繰り返しになりますが 子供達への食の教育は 現実的にとても重要な課題だと思いました デイモンさんは 次に 砂糖消費大国 肥満大国のアメリカを取材します ここで彼が強調したのが 食品・砂糖業界の強欲性と社会倫理です 例えば 清涼飲料水には 大量の砂糖や異性化糖が含まれているのに その過剰摂取の危険性については 敢えて誰も何も語ろうとしない その結果 子供の頃から哺乳瓶で清涼飲料水を飲み中毒になり 幼いうちから虫歯になって 若くして総入れ歯になる子供が少なくないそうで 特に地方の貧困層で そうした状況が深刻だそうです 業界は 砂糖含有量を増やせば 売り上げが増えることを熟知していて 売り上げが最大になり これ以上増えると売り上げが下がるという 砂糖含有量の臨界点を知っていて 飲料水だけでなく パスタやシリアルなどにも 売り上げを増やすために 臨界点に近い大量な砂糖が 含有されているとか そして 砂糖の過剰摂取の健康への悪影響は 隠し続ける ときに研究者に研究費の援助をし 自分たちに有利な研究成果を 発表させたりする こうした業界・企業の 強欲性と倫理観の欠如は かつてのタバコ業界と同じだと デイモンさんは厳しく追及していました 資本主義社会は 利益追求が最重要視される社会ともいえますが そのなかで立ち止まって 社会倫理性について考えることは 正直言って 言うは易し と思われている企業人は 少なくないかもしれません 難しい問題です いずれにせよ 再度 重要だと思ったのは 子供たちへの食の教育です 社会全体が その点を認識して実行していくことが 企業の強欲性をも凌駕するパワーに なっていくかもしれません 実際に 砂糖の過剰摂取による健康被害は 中南米諸国で最も深刻で 特に低所得者層での被害が甚大なようです そこを解決するのも 子供達への食の教育なのかもしれません デイモンさんは最後に 現代社会において砂糖が占める位置 についても言及されていました 砂糖は 現 代社会に強力に組み込まれていて 生きるために必須なものと見做されている 砂糖摂取は 愛を喚起させる 砂糖を食べたときに脳内で起こる反応は 愛を感じるときと同じもので 愛を感じないときは チョコレートで代用する習慣が作り上げられた うーん 砂糖は愛の代用品ですか?(笑) 砂糖は唯物論の祖で 砂糖の中毒性が物質主義を広げた 砂糖は即効性があるので 待つのが嫌いな現代人には適している といった論評も引用されていて なかなか興味深いものでした 砂糖文化論 砂糖社会論 意外に奥が深くて面白いかもしれません
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