60日後の変化
中央区・内科・高橋医院の 健康のための栄養学に関する情報 さて 60日間 毎日 砂糖を160g摂り続けると 体にはどのような変化が生じたのでしょう? デイモンさんは 奥さんに感化されて ナチュラリストのような食生活を 送っていたので 実験を開始する前は 体重は76Kg ウエストは84cmと 健康的な体型でした 毎日の摂取カロリーは2300Kcalで その内訳は 50%はアボガドやナッツなどの 質の良い脂肪から摂り タンパクと炭水化物から25%ずつ摂って 精製砂糖は全く摂っていませんでした そんな彼が 実験を開始して 12日目には 体重が3.3Kg増えて CT検査で内臓脂肪が増えてきたことが判明しました 18日目には 血液検査でALT値が増加してきて 脂肪肝による肝障害が出てきました 30日目には さらに体重が2Kg増えて ウエストは7cmも増えて91cmで 見るからに 下腹部がポッコリと突き出した体型になり やがて 顔に吹き出物が たくさん出るようになりました そして 60日後には 体重は8Kg増えて84Kgに ウエストは10cm増えて94cmに 体脂肪率は7%も増加し 肝機能値 中性脂肪値は お医者さんに 「短期間にこんなに悪化したのは見たことがない」 と言われるほど上昇していました 重要なのは この60日間の 1日の総摂取カロリーは平均2300Kcalで 実験開始前と比べて増えていないということ しかも ジャンクフードや甘いものは避け 低脂肪の健康食品を中心に食べた という事実です つまり 食べる量でなく 質が問題だということで こうした実験結果は カロリー量だけでなく カロリー源に注目すべきである というメッセージを発しています カロリーが同じでも 砂糖と野菜では 人体に対する影響が異なる カロリーだけでは評価できない という考え方です 一緒にDVDを見ていた糖尿病専門医さんに この ”カロリー信仰” に 疑問を投げかけるメッセージを どう思うかうかがったところ 肥満の人や糖尿病の人は カロリーを充分に注意しなければいけないのは 大前提で 健康な人でも カロリーを無視してたくさん食べても大丈夫 ということにはならない 消費カロリー以上のカロリーを摂取すれば 太るのは根本原則なので それを無視することは非論理的だけれど その根本原理を抑えたうえであれば カロリー源に注目するという考え方は 重要だと思う と 言われていました さすがは 優等生のコメントですね(笑) さて 60日間の糖質摂取実験で 見逃してはならないのが 精神的な変化です 砂糖を摂り続ける日々を 重ねていくにしたがい デイモンさんの精神状態に 変化が見られるようになりました 砂糖摂取後は集中力が一気に高まり 奥さんの表現を借りると 子供じみた躁状態 興奮状態になることが多くなり その後 時間が経つと 気分の高揚が急激に下がり 精神状態が不安定になる 専門家は 血糖が急激に上がると幸福感を感じるが すぐに低下してしまうと アドレナリンなどが出て 再び糖分を摂取するようになる こうした急激な変化と アドレナリンによる不安感などで 精神状態が不安定になり 集中力がなくなるのではないか と分析していました そして 実験終了後 砂糖依存性から脱却するのも 大変だったようです 毎日摂っていた砂糖を断ってから 頭痛 気分の落ち込み 易疲労感を感じ 睡眠サイクルが悪化し その結果 急激に砂糖が欲しくなる まさに 薬物中毒の離脱症状ですね そして薬物依存と同じで こうした状況の改善には 2~4週間かかったそうです しかし こうした我慢の時期を乗り越えると 気分の不安定はなくなり 体重もウエストも減少し 血液検査値も全て基準値まで改善したそうです また実験期間中は 満腹感が得られず間食が増えていたのに 砂糖の代わりに脂肪を摂るようになると 満腹感が戻り食事量も減ったそうです 継続的な砂糖摂取により 体重や検査値の増加・増悪が見られるのは 予想範囲内でしたが こんな精神状態の変化が見られることは 想像していませんでした 以前 ヒトは快楽のために食べることを 解説しましたが 砂糖に関しても まさにそうした現象がリアルにあるのですね、、、 あらためて 砂糖中毒の怖さを認識させられました 映画の最後に デイモンさんはこんな風に語っていました 砂糖は悪ではないが 少ない方が 人生ははるかに良くなる なるほどです、、、
高橋医院