離婚のときの証明
内分泌内科をやっていると、元気が出ないなどの主訴でいらっしゃることが多いです。
色々なホルモンを測ります。ある30代の男性が来院されました。
採血すると、コルチゾールというステロイドホルモンがすごく高値でした。
病気だと、クッシング症候群になり、体幹だけ太くなったり、多毛だったりいろいろな症状が出ます。
コルチゾールは、正常なら朝が高くて、夜に低くなるという日内変動があります。
一緒にACTHというコルチゾールを出せ!と命令する下垂体ホルモンと合わせて、病気を考えていきます。
さらに彼は、アドレナリンというホルモンも高値。でも血圧も問題なく、腫瘍もありません。
この男性は、ヒョロヒョロな感じで、肥満はなく、気が弱そうな感じでした。
色々な時間に採血したりしても、値がバラバラ、でもホルモンが常にでている病気があるようにはみえない。
うーん。
コルチゾールやアドレナリンはストレスがかかると、体を防御するために、副腎から分泌し、心身を保護します。
何とはなしに、ストレス多いですか?と伺うと、ためらいがちに、
実は妻から家庭内暴力(ドメスティック バイオレンス=ドメバイ)を受けていると。
ええっ?!
男性→女性ではなくて、女性→男性のドメバイ?
採血した日を確認すると、なんとドメバイの後の採血や翌日の採血の日にコルチゾールが高値で、
妻がいないときには、コルチゾールが正常であることがわかりました・・
あまりに、きれいに解決した検査データで感動でした!
そして、約1年後、また、彼が来院。
なんと、妻と離婚調停中で、離婚の根拠に、この検査データを出したいとのことでした。
どうりで、細かく手帳に、記録されていたわけです!
ちなみに結婚3年目!無事に離婚できたと伺いました!平安を祈ります。