NASHってなんだ?
健康に関する記事などで NASH という単語を見かける機会が 増えたのではないでしょうか? NASH ってなんだ? またダイゴさんが 新しい略語を作った?(笑) 書き手も 十数年前に アメリカ肝臓学会に参加したとき NASHというアルファベット4文字を あちらこちらで見聞きして 日本ではまだ聞いたことがなかったので いったい 何なの? と面食らったのを覚えています NAFLD NASH 読み方は ナッフルド ナッシュ ですが 最初はそんな読み方も知らなかったので エヌ・エー・エス・エイチ って なに? という感じでした(苦笑) 肝臓の病気 と言われて 一番すぐに思い浮かべるのは おそらくB型肝炎やC型肝炎だと思いますが B型肝炎もC型肝炎も 飲み薬だけで治療できるようになったこの時代 肝臓の病気のトレンドは このNASH なのです <NAFLD・非アルコール性脂肪性肝疾患> NASHは NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患 Non Alcoholic Fatty Liver Disease の一部です NAFLDは NAFLとNASHに分類されます @NAFL 非アルコール性脂肪肝 Non Alcoholic Fatty Liver @NASH 非アルコール性脂肪性肝炎 Non Alcoholic Steato Hepatitis アルコールが関与しない脂肪肝 のことです 肝臓に 単に脂肪が溜まった状態が NAFL そこに炎症や線維化が加わり 肝炎になっているのが NASH 肝炎の有無が NAFLとNASHの違いです そして NAFLとNASHをまとめたのが NAFLD <NASHは危険!> さて 脂肪肝というと 読み手の皆さんは どのようなイメージをお持ちでしょう? 贅沢な食生活のシンボル という感じで ネガティブなイメージでなく むしろ お金持ちのステータスの贅沢病 といった ポジティブなイメージがあるかもしれません まあ 要するに ヒトのフォアグラですからね(苦笑) 肝臓病専門医のあいだでも かつてはそうしたイメージが主流で それほど重要な病気ではないと 認識されていました 実際に 書き手が肝臓病を専攻し始めた頃は 克服すべきは B型肝炎 C型肝炎 肝硬変 肝細胞癌といった病気で 脂肪肝は全くといっていいほど注目されていなかった 肝臓に脂肪が溜まっているだけでしょ? という感じ(笑) それが 今や NAFLD NASH といった ちょっと格好良い(?)アルファベットの名前がついて 学会でも ウイルス性肝炎にひけをとらない大きな話題になっています いったい どうして 脂肪肝はそれほど注目されるようになったのでしょう? そもそもNAFLD・脂肪肝は 確かに 単に肝臓のなかに脂肪が溜まった状態で ウイルス性肝炎のように 肝硬変になったり 肝がんになったりすることはない と思われてきたのですが NAFLDのなかには NASHという たちが悪いのがいて NASHでは 単に脂肪が溜まっているだけではなく 炎症が起こっていて ほおっておくと 肝臓のなかに線維がたまってきて やがて 肝硬変になったり 肝がんになってしまうこともある そうしたことが だんだん明らかにされてきて 脂肪肝は 単なる贅沢者のステータスシンボルではないぞ! ちゃんと診断して治療をしないといけない病気なのだ! という認識が広まってきたのです しかも あとで詳しく説明しますが NAFLDやNASHは 現代病ともいえる生活習慣病との関わりが強く 特に糖尿病との腐れ縁が大きいことも 明らかにされました 気の毒な鴨さんたちは 強制的に餌を胃袋に詰め込まれて 脂肪肝であるフォアグラを作らされますが それを美味しそうに食べるヒトさまは 自ら進んで ヒトのフォアグラ・NAFLDになるのです?(笑) おりしも B型肝炎やC型肝炎の治療が進歩して それらの病気の克服が視野に入るようになってきた昨今 これまでの肝臓病の主役とも言えた B型肝炎やC型肝炎に代わって NAFLD NASHが一躍 脚光を浴びています まさに スター交代! という感じです NAFLD NASHは 侮れない脂肪性肝疾患 脂肪性肝炎 健康診断で肝機能異常を指摘され NAFLDが疑われて 心配になって当院を受診される方は とてもたくさんおられます 次回から NAFLD NASHについて 詳しく説明していきます
高橋医院