脂質異常症の運動療法
食事療法と並行して運動療法を行うと より効果的です 運動には *体に溜まった脂肪分を減らす有酸素運動 *筋肉量を増やして基礎代謝を上げ 太りにくい体質にする無酸素運動 の2種類があります <脂質異常症の改善に有効なのは有酸素運動です> たとえば 定期的に適度な強さのウォーキングなどの 有酸素運動を続けると *中性脂肪を減らし *HDL-Cを増やす 効果があり 肥満の予防や解消にも役立ちます 1日の歩数が 2000歩未満の人にくらべると 1万歩以上の人は 10%以上もHDL-C値が高いとの報告もあります 特に HDL-C値を増加させる有効な薬剤はありませんので 低HDL-C血症の場合は 運動療法は特に重要です <運動療法により脂質異常症が改善する機序> @インスリン感受性を高める インスリンの作用により LPL活性が増加するので 高TG血症の原因となる カイロミクロンやVLDLが効率よく代謝され 動脈硬化の危険因子のsdLDLが減少します @HDL-Cが増加する といった脂質代謝に直接的に影響を及ぼす効果が 考えられています @動脈硬化の進展を抑制する間接的な効果 *下肢血流量が増加する *骨格筋ミトコンドリア密度が増加する *血管拡張反応が改善する *自律神経系 血液凝固系が改善する といった機序も考えられています <運動療法と食事療法との併用の重要性> 運動療法単独で効果を求めるのは 現実的には難しいです 脂質異常症を改善するには ジョギングのような 息や鼓動が激しくなる運動を 毎日30分 6ヶ月以上継続する必要がある との説もあります これは 言うは易し で 日々の多忙な生活の中で 30分とはいえ 運動をする時間を見つけ出すのは困難でしょうし それをずっと継続して行うのは 決して簡単なことではありません 運動療法単独で効果を求めるのは なかなか難しいのが 偽らざるところだと思います しかし 運動だけでなく 食事も同時に見直せば 週3回程度の 軽く息がはずむ程度のウォーキングで 脂質異常症が改善するとの報告があります また 運動療法と食事療法の併用は それぞれを単独で行うより 著明な減量効果がみられるとの報告もあります 運動だけではダメだと諦める前に 運動療法と食事療法の併用を 是非試みていただきたいものです
高橋医院