夏風邪にご用心
今年は例年より 夏風邪で来院される患者さんが多いので 夏風邪の解説をすることにします 風邪というと冬のイメージですが 夏でも風邪をひくことが 意外に多いのです <夏風邪は長引く> 夏風邪は冬の風邪と異なり 症状が長引くことが多い 風邪と自覚されず 夏バテ 熱中症と勘違いされ 放置されることが多いからです 夏バテは 夏の暑さによって水分不足になったり 内臓が疲れたりして 疲労感 だるさ 食欲不振にはなりますが 熱は出ません ですから 微熱で体がだるい場合は 夏風邪の可能性が高い 但し 夏バテによって体の免疫力が落ちると 夏風邪を引きやすくなります また体力 免疫力が低下しているので 一度治っても 別の種類の夏風邪ウイルスに感染しやすく 長引いてしまいます <夏風邪の症状> 夏風邪はよく お腹の風邪と呼ばれますが 冬の風邪と大きく異なるのが 腹痛や下痢が高頻度にみられることです 夏場はエアコンなどで体が冷えるので お腹を壊しやすい状況にありますが 何日も下痢が続く場合には 夏風邪を疑ってみる必要があります 喉の痛みも 夏風邪に特徴的な症状です 空気が乾燥しているわけでもない どちらかというと湿気が多い夏場に 喉が痛くなって咳が出始めたら要注意です もうひとつの特徴的な症状が 口内や手足の水疱で 水疱が破けたときに激痛が走り ツバを飲み込むのもためらってしまうほどです <夏風邪を起こすウイルス> 風邪の原因の80~90%はウイルスですが 夏風邪を引き起こすウイルスは 高温で湿度の高い環境を好みます 代表的なのが エンテロウイルス アデノウイルス ライノウイルス エンテロは腸 アデノは喉 を意味することからわかるように 夏風邪をひくと お腹をこわしたり 喉が痛くなりやすいのは これらのウイルスの性質のためです エンテロウイルスは コクサッキーウイルス エコーウイルスなど 10種類以上のタイプがあり 感染すると 胃腸障害を伴うことが多い アデノウイルスは 喉の痛み 苦しくて激しい咳 発熱 結膜炎 が主たる症状ですが 下痢や胃腸炎をもたらすこともあります エンテロウイルスもアデノウイルスも 子供の感染が多いのですが ライノウイルスは 大人に多い鼻かぜウイルスで 鼻水が特徴的な症状です <なぜ夏風邪にかかるか?> 過度な冷房などにより 室内と屋外の温度差が大きくなりすぎると 自律神経が乱れて 体温調節が上手くできなくなり 免疫力が低下して風邪を引きやすくなり 症状が長引いてしまいます 自律神経の乱れを防ぐには 室内の温度を25~28℃にすると良いと されています また 高温多湿の環境や クーラーの使い過ぎによる夏バテも影響します 蒸し暑い夏は 食欲不振や倦怠感などで 体調を崩しやすくなり 熱帯夜のせいで睡眠不足にもなり 生活スタイルが乱れがちです 高温多湿の環境は 夏風邪のウイルスを活性化させる一方で 人間の体力と免疫力を低下させるのです
高橋医院