厚労省が発表した
新型コロナウイルスを想定した
「新しい生活様式」における熱中症予防
を受けて

「新しい生活様式」における熱中症予防をまとめたポスター


日本救急医学会・日本臨床救急医学会
日本感染症学会・日本呼吸器学会
の4学会が共同で

「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた
 熱中症予防に関する提言」

新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言

を行っていますので ご紹介します


<新しい生活様式と熱中症>

新型コロナウイルスの感染拡大を予防する
「新しい生活様式」
*ソーシャルディスタンスの確保

*マスクの着用

*手洗いを励行し 3密を避ける

*十分な室内換気を行う

といったことが 中心となっています

新しい生活様式について説明する図

これらのなかには
熱中症対策の観点からは
留意すべき事項も含まれており

新型コロナウイルス感染の拡大防止と
熱中症予防の
両立の難しさと混乱を招く可能性が危惧されます

また 熱中症は
熱中症弱者と考えられる高齢者の
屋内での発症が多いのが問題熱中症は高齢者の屋内での発症が多いことを注意するポスター

周囲にいるもの同士が
お互いに声を掛け合い 注意をし合うことが
熱中症予防においては重要になります

しかし 新型コロナウイルス対策により
屋内での長時間におよぶ滞在や
ソーシャルディスタンスを守るために
人と人のつながりが減少してしまうことで
熱中症弱者の発症リスクを
上げてしまうことも危惧されます

こうした状況を受けて
以下のような提言がなされました


<換気とエアコンについて>

屋内においては
室内換気に十分な配慮をしつつ
こまめにエアコン温度を調節し
室内温度を確認しましょう

@新型コロナウイルス対策としての
 室内における換気の重要性

新型コロナウイルス流行下での
新しい生活様式では
室内での換気がとても重要視されていて

換気の重要性を訴えるポスター

屋内の滞在時には
居室の温度を28℃以下 
相対湿度を70%以下に維持できる範囲内で
部屋の窓を風の流れができるように
2方向の窓を常時できるだけ開けて
毎時2回以上は開放(1回に数分程度回)し
換気を確保することが推奨されています

換気のポイントを説明する図


@熱中症予防でのエアコン使用の重要性

夏場は
室内の温度が外の気温以上に高くなることがあり
熱中症予防のためには
エアコンによる室温の管理が重要になります

エアコンによる室温管理の重要性を示す図

毎年 暑いのにエアコンをつけずに
熱中症になられてしまう老人がたくさんおられます


@エアコンと換気

とかくエアコンを付けていれば
新鮮な空気に入れ替わっていると思われがちですが

実は 通常の家庭用エアコンは空気を循環させるだけで
換気の機能はありません

エアコンには換気の機能はないことを注意するポスター

したがって 新型コロナウイルスの予防のためには
適宜窓を開けて 風通しをよくすること
が重要です

また 扇風機やサーキュレータを
有効に使用することも重要です


一方 頻回に窓を開ける 換気システムを使用するなど
室内換気を行うことで
室内温度が上昇してしまうことも考えられます

そこで 部屋の温度をこまめに確認することが
屋内での安全なステイ・ホームに重要と考えます


要は 換気により室内温度が高くなるため
エアコンの温度設定を下げるなどの調整を行い
熱中症対策と新型コロナウイルス対策を両立することが望ましい
ということです

熱中症対策と新型コロナウイルス対策を両立することをアピールするポスター


<マスク着用について>

マスク着用は
新型コロナウイルス対策の基本中の基本です

マスク対策を訴えるイラスト

しかし マスク着用により
身体に負担がかかりますので
熱中症予防のためには
適宜マスクをはずして休憩することも大切です

ただし 感染対策上重要ですので
はずす際は ソーシャルディスタンスに配慮し
周囲環境等に十分に注意を払って下さい

適宜マスクをはずして休憩することの大切さをアピールするポスター


ヒトの体は
体温を一定に維持しようとするために
体温上昇時には体熱放散作用が働き
体温の低下をはかります

体熱放散作用としては
皮膚の血管拡張や血流量の増加による熱の放散
発汗による水分蒸発作用のみならず
呼吸の促進によっても体熱放散が起こります

しかし マスク着用下のジョギングなどでは
呼吸による体熱放散が上手くできなくなり
熱中症が発生してしまう可能性があります

現時点では マスクをつけて運動しているから
必ず熱中症になりやすいとは言えませんが
心拍数 呼吸数 二酸化炭素 体感温度の上昇から
マスクをつけることで
体に負担がかかると考えられます

マスクをつけることで体に負担がかかることを示す図

そこで マスクを着用する場合は
普段よりも体への負担が強いため 
作業や運動には十分注意し
強い負荷の運動は避けてください

具体的には
マスクを着用する際は 
長期間(1時間以上)の運動を
避けることが望ましいとされます

研究報告からも
安静時または短時間(30分未満)のサージカルマスク着用では
中枢体温は上昇せず
マスクの着用が熱中症の熱中症の発症因子になるとは
言えませんが

マスクをつけて運動している人たち

1時間以上の運動時のマスク着用は
心肺機能への影響から
間接的に熱中症を発症する要因となる可能性は
否定できません

高橋医院