世界が新自由主義を謳歌しているなか
ポスト・モダン という流れが生まれてきます

1989年のドイツ再統一に始まり ソ連が崩壊すると
「新たなる希望」というコンセプトが到来します

それこそが ポスト・モダン です

ポスト・モダンは
自由と民主主義が
全世界に理想的な社会をもたらすという考え方で
歴史の方向性が保たれ
永遠の平和が訪れると思われていました

現在の社会 政治 経済は
ポスト・モダンによるグローバルで開放的な秩序の上に
存在しています

しかし 時がたつと
ポスト・モダンのダークサイドが顕わになってきます

「となりのサインフェルド」は
1990年代に アメリカの4人に1人が見たという
国民的テレビコメディです

そこに登場するのは
ただひたすらに自由で完璧な実存主義者で
金にも困らず 悩むこともなく 自由にしたいことを謳歌します

この番組を作った人々は
「何もないショー」をつくることで
メディアをコントロールしようとしました

番組では 全てが表面的で 何の深さもなく
人間がただそこにいるだけです

この番組は
まさにポスト・モダンの考え方に基づいています

ポスト・モダンでは
社会的現実も 科学的現実も
全ては何もない 単なるショーだと考えます

ある意味で 絶対的ニヒリズムで
価値あることは何もないと示そうとしました

完全なる自由により 全てを破壊すれば
何も存在できない

ポスト・モダンの信奉者は
完全なる自由への新たな希望を持ち
新自由主義すら覆そうとします

さらに グローバル化という新たな大号令が加わります
新たな自由の広がりとも言えます

しかし グローバル化で尊ばれる多様性の
負の側面も表面化してきて
無関心 引きこもり 人々の分断といった現象が
加速していきます

やがて
2001年に 世界的テロの時代に突入し
2008年のリーマンショックとあいまって
社会はさまざまな新たな混乱に見舞われることになります

こうして現代は
資本主義と自由民主主義の深刻な危機の余波に
まさに直面しています

今の時代は 「なんでもありの時代」 かもしれません

異様なまでに 相対主義が幅を利かせていて
宗教的なモラルにおいてすら
何が正しいかを決める方法は存在しないかのようです

異なる文化間での 異なるモラルの闘争や
政治的衝突が多発している

皮肉なことに これこそがトランプの世界観です
そこにあるのは 正義でなく 征服だけ

トランプは ポスト・モダン的天才で
それを経済的原動力に変えているのです

そして ポスト・モダンは
メデイアに新しいコンセプトをもたらしました

現実など見ることはできない
現実は存在しない

存在するのは隣り合う鏡だけ なのです
高橋医院