前回 アメリカでは自由が多すぎるのが問題だ と指摘されました
そこから話が展開していきます

<際限のない欲望の消費は悪か?>

人の心に 何らかの考えを植えつけることができるのは
人の心が自由だから

GAFAが人からデータを搾取できるのは 人は自由だから

現代資本主義の際限ない破壊的消費すら 人を不自由にしない

人の欲望というものは
生存本能 条件反射などと同じで 動物の本能だが

しかし 欲望のほとんどは
社会状況 マーケティングなどにより 人為的に生み出され
人を際限のない消費へと駆り立てる

グローバル資本主義も 際限のない欲望の消費も
人の自由意志により生み出されたものである

それは 悪なのか?

<悪の哲学・自由が悪も作る>

18~19世紀のドイツ哲学者・シェリングが明らかにした
「人間的自由の本質」

それは 自由とは善と悪の能力 である
ということでした

確かガブリエルは学生時代に
シェリングの「悪の哲学」について研究していて
以前の番組でも シェリングについて語っていました

シェリングは

自由であることは 間違いを犯す可能性があるということで
人が正しいことをする保証ではない

人の自由こそが 人の心に悪い考えを植え付けた

悪人も善人と同じように自由だが 不公正な社会は自由度が少ない
善とは 人間が協調する空間を増やすことだ

と指摘します

<哲学は理性の力を呼び覚ませるか?>

ガブリエルは このシェリングの解釈を元に論を展開します

地球破壊 環境破壊は
将来の人々の自由を奪うことなので 悪である

これが 世代間の不正義

こうしたことを理解するには 哲学が必要になる

人は 宇宙は無限か 人は自由か 正義とは何か といった
自らが根源的に持つ疑問に答えるために
必要に応じて哲学する動物である

しかし 絶え間ない消費という悪の構造は
人が哲学を学ぶことを望んでいない

世の中には邪悪な哲学者がいて
人間破壊のシステムを運営している

自由の仮面をかぶった悪は
絶えず人を誘惑し 精神を飼いならそうとする

哲学の概念をどう使うかは
人の自由意志次第で 強制できるものではない

しかし 人が自由の本質を知っている場合にのみ
未来を変える自由を行使できる

人が難題に遭遇したときに 立ち止まって考えることができるか
哲学は理性の力を呼び覚ませるか?

哲学者ガブリエルは そう問いかけます
高橋医院