「意味ある生活の経済」とは何でしょう?

ガブリエルは 生存と生活の違いについて解説します

<生存か 生活か>

@生存形式 Survival

経済学も資本主義も 最適を求める生存のための戦いと言えますが
ここで登場するのが
社会ダーウィニズムという考え方で
社会現象を
ダーウインの適者生存の進化論的理論で説明しようとする立場です

社会を 統計学 物理学的視点でとらえ
社会の構成員を数学的に管理するという考え方で

アメリカ的な物質文明の影響が大きく
多くのアメリカ人は生存のみに目が向いていると
ガブリエルは指摘します

そして彼は 生存形式は
理想的社会では福祉国家のシステムにより管理され
特定の生存レベルを保証するために必要なシステムであるべきで
そこには無条件のベーシックインカムが必要だと
語ります

@生活形式 Life

生存形式の対比として示される生活形式は
Geistにより裏付けされているもので

単に生存や楽しみのために生きるのでなく
「意味の次元」で生きていることを意味します

一種の規範的な意味合いであり あるべき大事な価値観でもあります

そもそも生存形式では
自己犠牲の精神を説明できず
ニーチェは 生存は人間の根本的欲望ではないと指摘しました

@生存か生活か

経済学 資本主義が対象としているのは
生存 すなわち適者生存のための争いであるが

しかし
社会の構成員を数としてカウントし
彼等をコントロールできると考える社会ダーウィニズムを
社会分析に一面的に適用させているのは大きな過ちである

そういう考え方なので
生存をかけた闘争が新たな闘争に駆り立てると認識させ人を苦しめる

しかしそれは 人間本来の性質ではない

人は意味ある経験を欲するので
芸術や文学を楽しむし
栄養素やカロリーではない美食を楽しむ

本当の食事というものは
生存でなく生活のために行うもので
生存の視点から見れば
食餌は単なるエネルギー代謝にすぎない

経済学でも より重要なのは
社会ダーウィニズムを克服した
意味のある生活に基づく経済学なのである

なるほど 意味ある生活の経済 の実態がわかりました
言われてみれば 至極ごもっともな指摘だと思います

<意味の場の存在論>

ここでガブリエルは 意味の場 について語ります

意味の場とは
他人と共有する歳月であり
常に関係しあう多様な視点が絡みあう場でもある

人間の生活様式は
自然を超越するものでなく 自然をありのままに示すものだから
人は自然の理解に立ち返る必要がある

今の社会モデルは
勝ち負けの基準で支配されがちな大人の視点を前提にしていて
子供の頃の体験が意味のある正しい体験であることを忘れている

この現実を変えなければいけない

人生における意味の探究は
進化心理学が示すような幻想ではない

誰もが人生を楽しめる「意味の場」の配置こそが重要で
生存形式は あくまでのもその背景にあるべきだ

はい このご指摘も 理解できるし 納得できます

<新しい価値観に基づいたグローバルな福祉社会へ>

ガブリエルはさらに
消費財中心の社会的生産条件システムから
グローバルな福祉社会への発展の重要性を指摘します

社会的実在論とは 社会主義の新しい形で
正義に対する貢献を考慮して人間の取引を測定するもので
現代の資本主義とは異なる数式を用いる

厚生経済学は
金銭的価値でなく人生の意味という観点から 経済的な価値を与える

倫理的社会は
人生の意味をより多く引き出す意思決定プロセスを重視する社会である

こうした理論に基づくグローバルな福祉社会では
グローバルなベーシックインカムが必要である

完全な持続可能性も必要とされ
そのため 化石燃料などの持続可能でないもの 人類に脅威になるものは
全て排除 根絶するべきだ

最近 色々なところで見聞きする「持続可能性」は
今や欠かせないコンセプトなのですね

ガブリエルはさらに踏み込んで 民主主義について語ります

民主主義というものは
必ずしもベストな考え方やシステムではないし
誤った決定をすることもある

民主主義のコンセプトは
投票によりどんな問題も解決できるということで
自分の利益が満たされるように投票することではない

単に 物事を正しく行う可能性を高めるための思想にすぎない

このように 巷でよく見かける民主主義絶対論に 大胆に異議を唱えます
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