待合室の壁に掛けてある大きな写真を
夏バージョンのひまわりから 
秋バージョンの紅葉 に変えました

紅葉の写真

秋の紅葉は 
とても美しくて大好きです

特に 赤 黄 緑と 
さまざまな色が入り混じった
コントラストの美しさは
見る者の心を和ませてくれます

色とりどりの紅葉

アメリカやヨーロッパでも
紅葉を楽しむことができますが
どちらかというと黄色が主体の単調な色合いが多く

書き手は 
色とりどりが楽しめる日本の紅葉の方が好きです

どうして日本と欧米では紅葉の色合いが異なるのか
不思議に思っていましたが

色合いのコントラストを楽しめるのは日本特有で
それは気温差の大きさと落葉広葉樹の種類の多さによって
生み出されているそうです

なんでも 
欧米の落葉広葉樹の種類が13種であるのに対し

日本はその倍の26種もあるそうで 
それが故に多彩な色彩を楽しめるのだとか

日本で見られる落葉広葉樹の種類

なるほど そういうわけでしたか

ちなみに 
どうして秋になると
葉の色が緑から赤や黄色に変わるかというと

通常 緑に見えるのは
クロロフィルが多く含まれているからですが

季節が変わり日照時間が短くなると 
クロロフィルが分解され緑が減ってくる

それに加えて 
秋が深まってくると
葉で作られたブドウ糖や蔗糖などの糖やアミノ酸が
幹に行かなくなります

その結果 
葉に蓄積したそれらの栄養分から
光合成により色素が作られます

このようにして 
葉の色が緑から赤や黄色に変化するのです

紅葉になるメカニズム

こうした色合いの変化には 
紫外線の量も大きく影響するそうで

昼夜の気温の大きな変化や紫外線の量の変化が
美しい紅葉に必要なのは
そうした理由によるものなのですね

それにしても 
紅葉の赤い色が
糖やアミノ酸の変化により生じてくるなんて
イメージしたこともありませんでした

世の中には知らないことがたくさんあります


ところで 秋が深まると
どうして葉の栄養分が幹に行かなくなるのでしょう?

それは 葉の付け根に「離層」という 
水分を通しにくいコルク質の組織ができてくるからです

離層のでき方


秋が深まり日照時間が短くなり 
気温が下がってくると
木の根の水分を吸い上げる力が弱くなります

落葉樹の葉は面積が広く 
特に乾燥した冬は水分が蒸発しやすい

根っこから吸い上げる水分が減ってくる冬に
水分がたくさんの葉にいきわたると 
幹で利用できる水分が減ってしまい
木そのものの存在が危うくなってしまいます

そうした状況を避けるために
晩秋になると 落葉樹の葉は自ら変化し始め
付け根に水分を通しにくいコルク質の組織ができてくる

そうなると 
幹から葉に水分が行かなくなりますから
葉はたまった栄養分で美しく色を変えたのち 
はらはらと落葉していきます

落葉の仕組み

こうして落葉樹は 
葉を落とすことで水分収支のバランスを図り 
冬を越す準備をするわけです

つまり紅葉は
健気な葉が 
自らを犠牲にして幹を守る営みの過程で見せる 
最後の艶姿
なわけで

まさに 
散る桜を愛でる日本人の心情に訴えかけるところが
大きいです

紅葉って 
自己犠牲の精神に満ちた 
はかないものだったのですね

さて今年の秋は 
そんなはかない紅葉をどこに愛でに行きましょう?


高橋医院