高尿酸血症 痛風の治療
1週間のブランクがありましたが 今日は 高尿酸血症・痛風の治療の解説をします <尿酸値がいくつになったら 薬を飲んだ方が良いのか?> 皆さん 気になるところだと思います 以前解説したように 尿酸値が7.0mg/dlを超えたら 尿酸結晶が出来てくるリスクがあるので 7.0mg/dlを超えたら要注意で まずは生活習慣を見直すことから始めます 前回お話ししたような 食生活や生活習慣に注意して1~2か月頑張っていただき 再度 血液検査で尿酸値をチェックします <薬物治療を開始するタイミングは?> @過去に痛風発作をおこした経験があり その後 継続して薬を飲んでいなかった方は 尿酸値が7.0mg/dlを越えた段階で すぐに薬を飲み始めていただきます @過去に痛風発作をおこした経験がない方は 他に持病があるかないかで 方針が異なります *腎障害 尿路結石 高血圧 狭心症・心筋梗塞 糖尿病 メタボリックシンドロームがある方は 尿酸値が8.0mg/dlを越えたら 薬による治療を開始した方が良いでしょう *そうした持病がなければ 尿酸値が8.0mg/dlを越えても9.0mg/dl以下なら もう少し生活指導を続けて経過を見ます *尿酸値が9.0mg/dlを越えたら 全ての方が薬による治療を開始すべきです ということで 薬物治療を開始する目安は *腎臓やメタボ関連の持病がある方は 8.0mg/dl *そうでない方は 9.0mg/dl になるわけです <治療の実際と改善の目標値> では どのように治療を行い 治療により いくつまで尿酸値を下げるべきでしょう? 実際の薬物治療は 少ない量から初めて 徐々に増量して 3~6ヶ月で維持量を決めます 尿酸値改善の目標値は 6.0mg/dl以下で 6.0mg/dl以下の状態が維持できると 沈着している尿酸結晶が溶け出して 再発作のリスクが減るとされています 特に 過去に発作を起こしたことがある方 高血圧の方は この目標を厳守する必要があります <尿酸値を下げる薬> 尿酸値を下げる薬物は 大きく分けて2種類あります @尿酸の生成を抑制する薬物 尿酸の合成に働く酵素の キサンチンオキシダーゼ(XO)を阻害して 生成を抑制します *アロプリノール(ザイロリック アロシトール) *フェブキソスタット(フェブリク) *トピロキソスタット(トピロリック ウリアデック) といった薬物が良く使用されます フェブキソスタット トピロキソスタットは 新たに開発された薬物で フェブキソスタットは 産生過剰型 排泄低下型の いずれに対しても同等の尿酸低下作用があり トピロキソスタットは 慢性腎臓病の患者さんに対しても効果を示し 腎保護作用があります これらの薬物を使用できるようになり 高尿酸血症の治療は 新しいステージを迎えつつあります @尿酸の排泄を促進する薬物 近位尿細管での 尿細管トランスポーターURAT1による 尿酸の再吸収を抑制することで 尿酸の排泄を促します *ベンズブロマロン(ユリノーム) *プロベネシド(ベネシッド) *ブコローム(パラミチン) といった薬物が良く使用されます しかし 尿中に大量の尿酸が排泄されると 尿路結石が出来やすくなるので その防止のために 充分に水分をとっていただき 尿アルカリ化薬を併用していただきます <いつまで薬を飲み続けなければいけないのか?> 多くの患者さんが この点をとても気にされます 以前 体質のお話をしましたが 高尿酸血症に限らず 多くの生活習慣病にもあてはまりますが 高尿酸血症になるような体質があるので 高尿酸血症になってしまう そして 薬物は 尿酸値を低下させる作用はありますが 残念ながら 根本的な原因である体質そのものを 改善させるわけではない ですから 薬を飲むのを止めれば 残念ですが また尿酸値は上がってしまう したがって 尿酸値が改善しても 面倒くさいかもしれませんが 薬は飲み続けてください ということになります もちろん 薬の量や種類は少なくすることはできるかもしれませんが 基本的には継続した治療が必要です このあたりは 主治医の先生とよく相談されてください <痛風発作時の治療> さて 不幸にして 痛風発作が起きてしまった時の治療は @前兆期(関節の違和感 むずむず感があるとき)は 予防的にコルヒチンを1錠服用します @発作の極期には 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を 短期間大量服用します @回復期になっても痛みが持続するときは NSAIDの通常量を服用します 温めたりもんだりすると逆効果ですし 歩きまわっても症状が増悪しますから そうしたことは避けるようにしてください @痛風発作のときに 尿酸値を下げる薬を飲むのは危険です! 注意が必要なのは 過去に尿酸値を下げる薬物を服用していたことがあり その薬が残っていた場合 痛風発作を起こして 自己判断でそうした薬を飲んでしまうことです 痛風発作は 尿酸値が急に下がっても起きやすいので 発作時に尿酸値を下げる薬物を服用すると かえって症状が増悪してしまうリスクがあります 発作時には 局所を冷やして 消炎鎮痛剤を飲むことが一番の対処です 尿酸値を下げる薬は 発作が治まって約2週間してから 服用を開始すべきですので 自己判断で発作時に 尿酸値を下げる薬を飲むことは 絶対に避けるようにしてください @発作がおさまった 尿酸値を下げる薬を続けてください 逆に 発作がおさまったら 尿酸値を下げる薬を飲まなくてもよい というわけではありません 以前に説明したように 尿酸値が高い状態が続けば かなりの高頻度で痛風発作が再発します 痛みがなくなった後も 継続した治療が大切ですので 是非 ご留意ください
高橋医院