クラーナハの回顧展

いつものように 
イヤホンガイドを借りて会場に入ります

回顧展の入口

まず初めに 
クラーナハの人となりが紹介されます

16世紀 
ドイツ・ルネサンス絵画の巨匠として活躍した彼は

ウイーンで頭角を現し始めた頃に
ザクセン公国のフリードリヒ賢明王に
その才能を見初められ

お抱え宮廷画家として 
公国の都ヴィッテンベルクで50年以上活躍します

当初は 
注文された多くの肖像画を描いていたようですが

肖像画

人物の特徴をつかむのが上手く
緻密 細密な画風で 
細部にこだわるリアルな描写に長けていました

そして 筆が速い 
作品を仕上げるのが とても早かったそうです

こうしたリアルな描写力は 
北方ルネサンスの画家の特徴で

まるで写真に写したように
細部まで緻密に描いていくのですよ

肖像画2

これは 
イタリアルネサンスにはない特徴的な画風で

絵そのものの上手さという点では
北方ルネサンスはイタリアルネサンスをはるかに凌駕していたことが
実感できます

ちなみに 細部の緻密な描写という点では
ドイツ・ルネサンスを代表するもうひとりの画家
アルブレヒト・デューラーの方が 
クラーナハをはるかに上回ります

アルブレヒト・デューラーの自画像

書き手は 
初めてデューラーのデッサンを見たとき
あまりの精密さに度肝を抜かしました

アルブレヒト・デューラーが描いたデッサン

デューラーとクラーナハは 
デューラーの方が1歳年上で
ともにドイツ・ルネサンスを背負った画家ですが

個人的には
デューラーは優等生 
クラーナハは奔放 
という印象があります

実際に 
デユーラーはキリストの受難を描くことを
大きなモチーフとし
ドイツ・ルネサンスの伝統に沿った画風で
邁進しましたが

クラーナハはその道から外れ 
別の興味の対象を追ったとされています

その別の興味の対象が 
こりゃまたスゴイのですが

その話はまたあとですることとして(笑)

今回の回顧展でも 
折に触れデューラーの作品も展示され
クラーナハとの比較対象がなされるような試みがなされ
とても興味深かったのですが

書き手はこれまで
どちらかというとデューラーの方が好きだったのですが
今回の回顧展を見て 
クラーナハへの興味が優るようになりました

回顧展で買ったこの本 
まだ積読状態ですが(苦笑)
ふたりの画家の違いについて 
詳しく勉強してみたいと思います

クラーナハとデューラーについて書かれた本

さて クラーナハには 
単なる画家とは異なる側面がありました

彼は 画家としては
自ら大きな工房を開き 
多くの画家を雇い 分業体制で制作に励み
多くの注文に応じて 
絵画を大量生産したそうです

その工房は 息子が引き継ぎました

まるで 
ルーベンスの先駆けのような存在だったのですね

で そうした画家としての日常業務をこなす傍らで
実業家としても大成功して

市長を3回務め
印刷所 薬局 書店など 
手広くビジネスを展開し

なんと 町で1番の土地持ちにして 
2番目の金持ちだったそうです

ヴィッテンベルクの街

クラーナハが活躍した 
ヴィッテンベルクの街

彼はこの街の 顔役だったのですね

そうだったのか~

画家というと 
なんとなく求道者的なイメージを持つので
ちょっとびっくりしましたが

でも これから紹介する 
クラーナハの人となりを考えると
なんとなく ビジネスマンとして成功したのも
うなずけるような気もします

さて どんな人となり なのでしょう?

次回のお楽しみ!(笑)
高橋医院