貧血は
月経過多 ダイエットの影響などが原因となり 
女性に多くみられる病気で

成人男性では 
高齢者以外は稀です

さまざまな貧血の原因をまとめた図

赤血球を作るのに必要な 
鉄 ビタミンB12など欠乏による貧血が最も多く
日本人女性の10%は 
鉄欠乏性貧血であるというデータもあります

貧血の種類 起こる原因

赤血球は骨髄で

造血幹細胞 → 赤芽球前駆細胞 → 
赤芽球 → 網状赤血球 → 赤血球

というプロセスで作られることを説明しましたが

この成熟段階の各パートで異常が起こると 
貧血が生じます


赤血球が作られる分化過程を示した図


@造血幹細胞のレベルで異常が生じると

再生不良性貧血

骨髄異形成症候群

といった貧血が起こり

@赤芽球前駆細胞のレベルで異常が生じると

赤芽球癆

*腎臓でのエリスロポエチン産生低下による
 腎性貧血

が起こり

@赤芽球でのDNA合成レベルで異常が生じると

葉酸ビタミンB12欠乏による
 巨赤芽球性貧血 が起こり


@赤芽球でのヘモグロビン合成レベルで異常が生じると

*鉄が足りないために生じる 
 鉄欠乏性貧血

*ヘムの合成障害により生じる 
 鉄芽球性貧血 ポルフェリア

*グロビン鎖の合成障害により生じる 
 サラセミア

などが起こります

赤血球の分化の各段階で生ずる貧血をまとめた図

このように 
骨髄の中で赤血球ができる過程で
幹細胞の異常や 
分化・成熟に必要な栄養素の不足
などによって生じる貧血以外に

@出来上がった赤血球が
 血管内で壊されてしまう

溶血性貧血

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)

といった貧血もあります


<赤血球の大きさ 色の濃さによる貧血の分類>
 
このように 貧血は沢山の種類がありますが

医者は 
血液検査で赤血球の大きさ(MCV)を見て
どんなタイプの貧血かめぼしをつけて 
さらに詳しい検査に進みます

@大球性

葉酸やビタミンB12欠乏による
巨赤芽球性貧血

@小球性

ヘモグロビンのヘム グロビンの合成異常
鉄不足による貧血
慢性炎症にともなう貧血

@正球性

急性の出血による貧血 
赤血球が壊れてしまう溶血性貧血

をそれぞれ疑います

赤血球の大きさによる貧血の分類をまとめた図

MCV MCHという 
血の色の濃さを反映する検査項目があり
これにより 
ヘモグロビンの濃度 量がわかります


<貧血の症状>

初期には 
倦怠感 易疲労感などが自覚されますが

進行すると 
動悸 息切れ めまい 頭痛
といった症状が出てきます

貧血で見られる症状

@ヘモグロビン(血色素)の量と症状

ヘモグロビンは

*小児・妊婦では 11g/dl

*思春期 成人の女性では 12 g/dl

*成人男性では 13 g/dl

が 基準値とされています

ヘモグロビンが8~9 g/dl程度までなら
無症状のこともありますが

7g/dl以下になると
息切れ 頭痛 耳鳴り めまいなどの
自覚症状が出てきます

ヘモグロビンの量と現れる症状をまとめた表

また

*皮膚が蒼白になる 顔色が悪い

*眼瞼結膜(眼でアッカンベーをしたときの眼球の下の部分)
 の赤みが薄くなる
 
*爪が 扁平脆弱化したり 
 スプーン様の変形が見られる

*舌炎 口角炎がみられる

*咽頭 舌 食道入口部の粘膜の異常による
 嚥下痛が起こる

*手足のしびれを感じる

といった 自覚症状 他覚症状が
見られることもあります

全身でみられる貧血の症状をまとめた図

こうした症状に思い当たる節がおありの方は
貧血かもしれませんから
早目に受診されてください
高橋医院