不眠症になる要因として
次の3つが挙げられています

@不安 ストレス

@体内時計の乱れ

@間違った睡眠習慣

これらの要因が絡み合って 
不眠症になるわけですが

不眠症になる要因についてまとめた図

現代の不眠症で特に重要なのは

体内時計の乱れ と 間違った睡眠習慣 です


<体内時計の乱れ>

現代社会では 
夜遅くまで明るく 
お店も開いているので

どうしても夜型の生活習慣に
なりがちです

体内時計の乱れが原因の不眠症が増えていることを示す図

特にそうした傾向は若年層に多く
若い人の不眠症の主たる原因は 
夜型の生活による体内時計の乱れです

要は 夜型生活なので 
寝るのが遅くなり
しかし朝の始業時間は変わらないので 
必然的に眠る時間が減る

だから眠い

体内時計の乱れで不眠症になる機序を説明した図


<間違った睡眠習慣>

また 間違った睡眠習慣も 
特に中高年で大きな問題になります

間違った睡眠習慣をまとめた図

間違った睡眠習慣の代表的な例が 
8時間睡眠信仰です

なぜか世間では 
8時間寝ないとマズイということになっていて

それを過度に意識するあまり
「眠れないのではないか」
という恐怖心が起こり
そのために 
かえって頭がさえてしまい不眠になる

という 
不眠恐怖症ともいえる悪循環が生じます

「8時間睡眠のウソ」という本の表紙

そもそも 
適切な睡眠時間は人によって異なりますし

それでなくても
高齢になると 中途覚醒が増え 
朝の目覚めも早くなります

特に男性は
40歳代から早朝覚醒が増加
50歳代後半になると
さらに朝型化していくとされていますから

そうしたことは病気ではなく 
加齢にともなう生理的な変化なのです

また 歳とともに 
眠りの質も浅くなっていきます

歳とともに 睡眠時間 眠りの質が変化することを示すグラフ

それなのに 悲しいかな
若い頃のようなぐっすりとした眠りを
求めてしまうのです

平均的睡眠時間は 
60代で6.2時間 
70代で5.9時間なのに

8時間寝たい 
8時間寝ないと体に悪い と信じ

それが故に 
8時間寝られないと 
自分は不眠症だと思ってしまう


それ以外にも 
世の中にはなぜか信じられている
不適切な睡眠習慣がたくさんあります

不適切な睡眠習慣をまとめた図

寝られないときは横になり 
身体だけでも休ませといい 
は間違い

そんなことをしたら 
眠れない恐怖心が育ってしまいます


眠くなるのを期待して早目に布団に入る 
のも間違い

夜7~10時は 
覚醒レベルが高く眠気も弱いので
寝ようとしても眠れないし
無理して寝ると 
生理的な睡眠パターンが乱れてしまいます


昼寝を長めにして寝不足を補えばいい 
のも間違い

昼に30分以上寝てしまうと 
夜の睡眠の質が落ちてしまいます


休日の朝に遅くまで寝て 
日頃の寝不足を補えばいい 
のも間違い

そんなことをすると 
体内時計が乱れてしまいますから
休日でも平日と同じ時間に起きるべきです

昼寝にしても休日の朝寝にしても
日頃の寝不足を補いたいなら
前の晩に1~2時間早く寝た方が効果的です


ということで 
現代社会における不眠症の患者さんへの対応は

*乱れた生活パターンがないか?

*誤った睡眠習慣をされていないか?

を詳しくうかがって

該当する点があれば 
そこを改善していただくことが
ファーストステップになります

睡眠薬を使うのは そのあとです


高橋医院