胃食道逆流症と生活習慣
胃食道逆流症の患者さんの増加には 現代社会での生活習慣の変化が 大きく関与しています <食生活の変化> 食生活の変化では 胃酸を多く分泌させる食物の 摂取量の増加の影響が大きい 甘いもの 脂肪の多い食物は 胃酸を多く分泌させますし 喫煙 アルコール コーヒーも 胃酸分泌を高めます また 脂肪の多い食事は 十二指腸からのコレストキニン分泌を促進しますが コレストキニンは 下部食道括約筋(LES)を緩ませるので 胃酸の逆流が増えてしまいます 一方 タンパク質の多い食事は 消化に時間がかかり 胃内滞在時間が増えるので 胃内容が逆流しやすくなります さらに 食べ過ぎで胃が拡張することでも LESが緩みます このように 甘いものや 脂肪 タンパク質の摂取量の増加が 胃食道逆流症が増えた原因となっています <肥満> 社会的問題にすらなってきた肥満も 胃食道逆流症が増えた原因のひとつです 胃食道逆流症全体では BMIとの関連は不明ですが びらん性胃食道逆流症の患者さんに限ると 健常人よりBMIが有意に高く 一方 肥満者では 胃食道逆流症の有病率が高いとの報告があり 高度肥満は びらん性胃食道逆流症のリスク要因となっています 肥満の患者さんがたっぷり有している 内臓脂肪から産生された 悪玉アデイポカインが 胃のG細胞からのガストリン分泌を促進し 胃酸分泌を亢進する可能性や 悪玉アデイポカインにより 産生誘導された炎症性サイトカインが 直接的に食道炎症を惹起する可能性が 示唆されています <ストレス> ストレスも 胃食道逆流症の増加に関与します ストレスが 食道の働きを弱めたり あとで説明する中枢性の知覚過敏に 関与する可能性が示唆されています <加齢> 加齢も胃食道逆流症の増加に関与します 加齢により *下部食道括約筋の働きが弱まる *食道の蠕動運動が弱まる *唾液の分泌量が減るので 胃酸が薄まらない *背中が曲がるので 腹圧が高まる こうした状況により 胃酸が逆流しやすくなってしまうのです
高橋医院