ボタニカル
ジンの爽やかな香味を造りだす ボタニカル 今日はジンの生命線ともいえる ボタニカルの説明をします ボタニカルは ハーブ スパイス 果皮などの草木木皮 のことを言います ジンを造るときは 5〜10種前後のボタニカルが使用され そのレシピによって ジンの香りが決まります ですから ボタニカルの種類や配合比率は 蒸留所のトップシークレット 最近でこそ こんなボタニカルを使っていますと 喧伝することもありますが 昔はどんな種類が用いられているかは 企業秘密でした 但し「ジュニパーベリー」は 必須のボタニカルで ほとんどのジンに用いられています ジュニパーベリーは 西洋杜松(ネズ)という 寒い地域で育つ針葉樹(ヒノキ科)の木の実で 松のようなウッディな香り ほどよい苦味 若干のスパイシーさを ジンに与えます 古代から あらゆる病に効く万能薬と 考えられていて 胃痛 けいれんなどにも有効とされていました 独特の 清らかささえ彷彿させるような香りから 悪霊を祓う効果があるとも 言われていました ちなみに 書き手が初めて飲んだのは ゴードンというブランドのジンでしたが ラベルの両脇の部分に ジュニパーベリーの実が 鮮やかに描かれています このデザインも印象的で 味とともに よく覚えていますよ(笑) ドライジンで使用されることが多い 3大ボタニカルは *ジュニパーベリー *コリアンダー(パクチー) *アンジェリカ とされています ジュニパーベリーは ドライの源 コリアンダーは エレガントですが力強く 甘味のないレモン オレンジの風味で スパイシーさもあり ジュニパーベリーの刺激を調整します アンジェリカは わずかに甘くウッディーで つなぎ役として ジュニパーベリーとコリアンダーを 調和させます これら以外にも *アニス *キャラウェイ *フェンネル *カルダモン *カモミール *ミント *ナツメグ *ローズヒップ *ラベンダー などの種子 *オリス *リコリス などの根 *レモンピール *オレンジピール などの果皮 *シナモン *ジンジャー などが用いられ それぞれの個性ある香りが ジンの香味に奥行きを与えます 個人的には 甘苦さを感じるキャラウエイなどは 大好きです さてボタニカルの香りを グレーンスピリッツに付けるには 2種類の方法があります @浸漬法 ボタニカルをグレーンスピリッツに 24時間~数日浸け込んでから ボタニカルを入れたままの状態で 再蒸留します 香り 味ともに しっかりしたものになり 香ばしくなります 多くの銘柄で採用されている 代表的な方法です @バスケット法 (ヴェイパー・インフュージョン) グレーンスピリッツが入った蒸留器の上部に 上下が金網の円筒カゴをとりつけて そこにボタニカルを入れて蒸留し 立ち上るスピリッツの蒸気に ボタニカルの香味成分を しみ込ませる方法です 香り 味ともに軽やかになり 香りは際立ちバランスがよくなります 浸漬法より デリケートで難しいので 採用している銘柄は少なく ボンベイ・サファイア スターオブボンベイ ボタニスト など限られています こうした方法により 単式蒸留器でゆっくりと再蒸留して ボタニカルの香味が加えられるのです
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