空腹解消ダイエット1:脂肪細胞を教育すれば空腹は感じない
”ダイエット本読みまくり” の解説シリーズ 開始してから約1か月たち 今日から5冊目に入ります! もう 飽きてきましたか?(笑) デヴィッド・ラドウィグという ハーバードの公衆衛生・栄養学の肥満研究者 いわばプロ中のプロが2016年に書かれた Always hungry? というタイトルの本 日本では2018年に 「空腹解消ダイエット」 という題の翻訳が出版されました この本で特徴的なのは 「脂肪組織にターゲットを絞る」 というコンセプトです <脂肪細胞を教育し 空腹を感じないようにするダイエット> 脂肪組織を再プログラムし 貯めこんでいたカロリーを排出させると 代謝レベルが減量モードに シフトしていく という理論が展開されます そして インスリンレベルを下げ 細胞の炎症を抑える食事をして 脂肪細胞を制限して カロリーが体の他の部位に 行き渡るようにすることを 推奨します また 空腹を感じずにすむダイエットを 目指すのも特徴で そのためには空腹時には タンパク質 精製していない炭水化物を食べ 飢餓感による体の反応が 起こらないようにすることを推奨します さすがにプロは 理屈っぽく攻めてきます(笑) で まずは本論に入る前に お約束のように カロリー制限・運動推奨ダイエットが 否定されます <大事なのはカロリーでなく 食物の質!> カロリーバランスという考え方は 20世紀初頭に失敗したもので 実際には役に立たない 「全てのカロリーは摂取源に関わらず同じ」 という考え方が間違いで カロリーは同じでも 食物の質により 代謝 食欲への影響が異なるので 体内で生じる カロリーの燃焼具合 脂肪量 筋肉量の増減 空腹感の程度 体重コントロール などが異なってくる <運動では体重は減らない> 運動後にさらに空腹になり たくさん食べて埋め合わせしてしまうし その後の活動をセーブしてしまうから 運動しても体重は減らない <肥満になる原因は社会にある> 母親が肥満だと 子供も肥満になり 幼少期に肥満な人は 大人になっても肥満である こうしたことから 肥満の蔓延は 次世代に加速度的に 伝播していくリスクが大きい そして 不健康な食生活が蔓延している社会では 肥満の原因は遺伝でなく環境にあり 個人の意志の弱さが問題ではない こうした 肥満を起こさせる社会的原因に 注意しなければならない *カロリー制限神話の過ち *運動では痩せない *肥満になるのは社会的要因が原因 これらの点は これまでの全ての本で言及されていましたが これだけしつこく書かれると もう暗唱できてしまいますね(笑) でも それだけ重要と考えられている ということだと思うので 敢えて しつこく紹介させていただきました 次に この本の特徴的な論旨のひとつである 「空腹を感じないダイエット」に絡んで これもこれまでに度々登場してきた 体重 脂肪組織のセットポイント理論が 紹介されます <生体反応としてのリバウンド> 上述したように 1990年代に大流行した カロリー制限・運動ダイエットでは 多くの場合は最大限10%の減量しかできず ほとんどが1年以内に リバウンドして体重が増え 10%の減量を1年間維持できた人は 6人に1人にすぎない リバウンドする理由は 体のダイエットへの反応のせいだ カロリー制限で一時的に減量に成功しても 体がそれに抵抗して 空腹感が増し 代謝も落ちるので 遅かれ早かれ 反応としてのリバウンドが起きてしまう ヒトの体は 自分の適性体重 落ち着きたい体重を知っていて 食事制限などを行うと 反動して空腹感が増す カロリー制限で 脂肪から強制的にカロリーを奪おうとすると 体が反応してリバウンドして 食べてしまうのである 体重が減ると 体はこれ以上体重を減らすまいとして 代謝率が大幅に減り 空腹感が増す この空腹感の高まりと代謝率の低下が ダイエットの失敗とリバウンドの 原因にほかならない つまり 体重を変えることは難しい ヒトの遺伝子 体質に刻まれた 「体重のセットポイント」があり 体重が変化すると 体はセットポイントに戻ろうとし それを維持しようとするから 体重のセットポイント説も すっかりお馴染みになりましたね(笑)
高橋医院