頻脈性不整脈の治療について説明します

<カテーテルアブレーション>

足の付け根や腕の血管から
心臓の中に細いカテーテルを進ませて
その先端から高周波を流すことによって 
心臓の筋肉の一部を焼いて
不整脈の源を取り除こうとする治療法です



成功すると不整脈が根本的に治るので
薬物治療は不要になります

*WPW症候群
*発作性上室性頻拍
*心房粗動
などの
電気信号がグルグル回るリエントリー回路ができている
頻脈性不整脈で 
良好な成績が得られています



しかし 心室頻拍 心室細動などへの成功率は低く
心室では心房に比べて 
不整脈の発生源が深いところにあるためと
推察されています

@合併症

*心臓タンポナーデ
(心臓の壁に穴があいて そこから血液が外にもれる)

*脳梗塞 
(治療中 治療後に予防的な抗凝固療法を行う)

*房室ブロック

*動静脈婁(動脈と静脈の間に交通ができる)

などがあり
0.5~2%前後で生じると報告されています


<薬を用いた治療>

@薬物治療の対象となる不整脈

*心房細動

*心室頻拍

*発作性上室頻拍

などが対象になります

@抗不整脈薬

心筋の細胞膜に存在する
ナトリウム カリウムなどのチャンネルを遮断し
心筋の興奮を抑える作用を有する薬が主で




ひとつの薬が 
複数のチャンネル遮断作用を
併せ持つことが多いです

強力な抗不整脈作用を有する反面
別の不整脈を発生させる 催不整脈作用や
心機能を抑制してしまう副作用があるので
使用時には充分な注意が必要です

また 薬によって
肝臓での代謝 腎臓での排泄
のいずれの回路をとるか異なるので
患者さんの肝機能 腎機能を考慮しながら 
使用する薬を決定します


抗不整脈薬は

*脈のリズムをコントロールする薬

*脈の数(レート)をコントロールする薬

に大別されます


@リズムコントロールする薬

心筋に作用して その興奮を抑えます

*ナトリウムチャンネル遮断薬

心房 心室の心筋の 
電気刺激の伝導速度を遅くします

特に心房細動などの上室性不整脈に有用です

*カリウムチャンネル遮断薬

不応期を長くすることで 
電気刺激の伝導速度を遅くします

心室頻拍などの心室性不整脈に有用です





@レートコントロールする薬

主に房室結節に作用して 
心拍数を抑えてレートコントロールします

*β遮断薬

交感神経を遮断して心拍を遅くします

安静時も運動時も心拍数を低下させ
心機能低下保護作用があるので 
心不全傾向がある人が適応です

甲状腺機能亢進症の頻拍にも使えます

心房筋 心室筋 房室結節の
いずれにも効果があり
リズムコントロール薬としても使えます

気管支喘息には使えません


*カルシウムチャンネル遮断薬

洞結節 房室結節での
電気信号の発生 伝達抑制により
レートコントロールします




*ムスカリン受容体遮断薬

抗コリン作用により迷走神経を抑制し 
心拍数を増加させます
高橋医院