どうして新型コロナウイルスは
A型で多く
O型で少ないのか?

どのようなメカニズムが
考えられているのでしょう?

ひとつは 
ABOの血液型に関連する抗体の関与

もうひとつは 
ACE ACE2の活動性と血液型の関連です


<ABOの血液型に関連する抗体の関与>

ABOの血液型に関連する抗体の
関与について解説する前に

まず ABO式血液型について説明します

@ABO式血液型の抗原と抗体

人の赤血球や細胞は
A抗原 B抗原の発現の有無により
ABOタイプに分類されます

*A抗原を発現していると A型
*B抗原を発現していると B型
*両方を発現していると AB型
*両方とも発現していないと O型

ABO式血液型について説明する図
なぜかわかりませんが
A抗原 B抗原を持っていないと
それに対する自然抗体が形成されます

A型は 抗B抗体があり
B型は 抗A抗体あり
O型は 抗A抗体 抗B抗体の両方があり
AB型は 抗A抗体 抗B抗体の両方がありません

抗体があると 抗原に結合して凝集してしまうので
輸血のときには注意が必要で

*A型の人は抗B抗体があるので
 B抗原を有するB型 AB型の血液は輸血できず

*B型の人に抗A抗体があるので
 A抗原を有するA型 AB型の血液は輸血できず

*AB型の人は抗体がないので
 全ての血液型の血液が輸血でき

*O型の人は抗A 抗Bの両方の抗体があるので
 A型 B型 AB型の血液は輸血できません

各血液型間での輸血の可否を示す表


@抗A抗体の働き

抗A抗体
新型コロナウイルスが細胞に感染する際に
受容体として結合するACE2とウイルスの結合を
阻止する働きがあります

抗A抗体がACE2とウイルスの結合を阻止するイラスト


だから抗A抗体を持つO型の人は
新型コロナウイルスに
感染しにくいのかもしれません

でも抗A抗体を持っているのに
B型の感染はO型ほど少ないわけではない

なぜかというと
O型の人の抗A抗体はIgGタイプが多く
一方 B型の人はIgMタイプが多く
IgMタイプはIgGタイプより
ACE2とウイルスの結合阻止作用が強いためと
考えられています

O型とB型の抗A抗体の差異を示す表


<血液型とACE ACE2の活動性の関連>

一方で
血液型とACE ACE2活動性との関連が
新型コロナウイルスの重症化に関係すると
考えられています

この点を説明するために
ACEとACE2について説明します

@ACE

ACEはアンギオテンシンⅠを
アンギオテンシンⅡに変換する酵素で
アンギオテンシンⅡは強い血管収縮作用があり
血圧を上昇させます

ですから高血圧では ACE活性が高く
レニン・アンギオテンシン系が活性化されており
代表的な降圧薬の
ACE阻害薬 アンギオテンシン受容体拮抗薬はACE活性を抑制し 
レニン・アンギオテンシン系をブロックすることで
血圧を下げます

ACE ACE2の作用を示す図
@ACE2

ACE2は
ACEと類似した構造を持ち
ACEと同様にアンギオテンシン系に作用しますが
その作用はACEに拮抗します

ACE2は アンギオテンシンⅡを
血管拡張作用が強いアンギオテンシンに
変換するのです

また 抗炎症作用 抗酸化作用も示し 
健康維持作用があります


@血液型とACE ACE2活動性

O型の人は
ACEの発現レベルが低く
ACE2の活動性が高いので
高血圧や心血管病になりにくいとされ

A型の人は
ACEの活動性が高く
さらに A型抗原がICAM-1などの接着分子の
分解を妨げているので
ICAM-1などの接着分子の機能が強く
血管内炎症が起こりやすく 
微小循環が阻害されるので
心血管病になりやすいとされています

O型 A型のACE ACE2の作用の違いを示す図

こうした理由により
O型の人は
高血圧にもならず 
血栓もできにくく 炎症も抑制されるので
重篤なCOVIDになりにくい

A型の人は
高血圧や心血管病になりやすく 
血栓もできやすいので
重篤なCOVIDになりやすい

と推察されています
高橋医院