去年の中秋の名月

我が家では ススキとお団子は用意したのですが
関東地方はあいにくのお天気で
月を愛でることができませんでした

名月と団子とススキ


でも ちょうどその頃 
贔屓にしているワイン屋さんから
こんなメールが届きました

「お月見の夜には ビオディナミワインを楽しみましょう!」


ビオディナミ?

聞いたことがないけれど いったいどこの国のワインなの?

えっ 普段から自分は“左利き”と豪語しているのに
ビオディナミワインを知らないの?

そんな揶揄の声が聞こえてきそうです?(苦笑)

ビオディナミワインのポスター


で ビオディナミ
なんと 国やテロワールの名前ではなかったのですよ

ビオディナミ農法という 自然派ワインの造り方の一種でした


自然派ワイン

書き手は不勉強で詳しくありませんが
最近かなりブームになっているようです

自然派ワインのポスター

除草剤 殺虫剤などの農薬や化学肥料を使用しない
有機栽培でブドウを育て
自然酵母(野生酵母)で発酵させて
保存のための酸化防止剤の亜硫酸塩の使用も控える

そんなふうにして造られるワインは
「ビオワイン」
と呼ばれているそうです

ビオワインのポスター

ビオワイン 確かに聞いたことがあります


で ビオワインの製法は大きく分けてふたつあって
そのひとつは ビオロジック農法

ビオロジック農法のポスター

鶏糞や羊糞などの有機肥料を使用する有機農法で
EUで認証された肥料以外は使えず
遺伝子組み換え 放射線処理も禁止されているそうです


そしてもうひとつが
今日のお題の ビオディナミ農法

少し詳しく紹介しましょう


<ビオディナミ農法とは?>

英語ではバイオ・ダイナミック農法と呼ばれる
自然派ワイン造りの手法のひとつです

自然派(ビオ)農法のビオロジック農法を
より特異的 先鋭的にしたイメージでしょうか?

ビオロジック農法とビオディナミ農法の関係を示す図

土壌のエネルギーと自然界に存在する要素の力を引き上げ
ぶどうの樹の生命力を高める農法で

時に「占星術のよう」「カルト的」と 陰口をたたかれるようです

一般的な自然派ワインの造り方より もっと手間が掛るため
実践している造り手は限られているとか


<起源>

1924年 オーストリアの哲学者 科学者
ルドルフ・シュタイナーが提唱した
「農業講座」が 理論的な基礎となっています

シュタイナー 
名前は聞いたことがありますが 詳しく知りません

ルドルフ・シュタイナー

ルドルフ・シュタイナーは
哲学的な方法を通して
物質世界と精神世界の断絶を埋めることを目標にしていて

*人間は意識の進化の基礎となる霊的な現実を
 直接知覚することが可能であること

*人間には超感覚的存在としての側面がある

という論理を確立するために「人智学」を提唱したそうです


うーん 霊的現実とか 超感覚的と言われると
ちょっと身構えるというか 
正直言って違和感もありますね(苦笑)

で 農業に関しては
自然な環境で
土壌と植物を保全し価値を与える取り組みを推奨して
上述の農学講座を著しました


<定着するまで>

ビオディナミ農法によるワイン造りが始められた当初は
ワインにビオディナミを取り入れることは
異質だと思われていました

有機農法であるビオワインですらも
世間のイメージは良くなかった時代です

しかし現在は
環境への配慮 安全かつ自然のままであることが
重要視されはじめたので
自然を大切に扱おうとするビオディナミ農法は
すっかり定着しています

ビオディナミ農法を宣伝するポスター


<風味 味わい>

ビオディナミ農法で造られたワインには
独特の味わいや香りがあるそうです

まず 飲み口の柔らかさが特徴的で
ボルドーワインのように
タンニンがしっかりとある場合でもスムースで
旨みやフルーツの風味が
舌に滲み込んでくるような感覚があるそうです

風味は純粋な感じ
果実味は 完熟感というより
もぎたての果実を思わせる瑞々しさが目立ちます

また香りも
単純に食物に例えられるシンプルな香りが多く
インク なめし皮 湿った下草など
ワインの表現としてはよく用いられる
食べ物以外の香りの要素が少ないそうです

表現するのが簡単そうでいいですね!(笑)

そして 飲み下した後の余韻には
香水や花のような芳香が溢れる場合が多いそうで

ワインの香り成分は様々な要素から形成されますが
それを作り出す大きな要素は酵母で
ビオディナミでは必ず用いられる野生酵母
複雑な香りを生み出しているのではないかと言われています

ビオディナミ農法で造られたワイン

まとめると 素直でストレート ということでしょうか?

だとすると ひねくれ者の書き手は
ちょっと物足りなく感じるかな?(苦笑)
高橋医院