アメリカ経済学の過ち12
ニューヨークは活気あふれる刺激的な街だけれど リラックスできる瞬間はなく 安らげる社会の仕組みもないと ガブリエルは嘆きます 資本主義がとても深く根付いているアメリカでは 社会的 経済的な地位を維持するには 常に戦いに勝たなければならず ニューヨークでは闘争が繰り返されています <ホッブス ルソー ヘーゲル> このようなまえふりで登場するのが 著書「リヴァイアサン」で 「万人の万人に対する闘争」を書いた 17世紀のイギリスの思想家 ホッブスです 人間は本来 お互いいがみ合っている 社会における個人の営みは 相手を破滅させたいという願望に他ならない だから社会の通常の形態は 闘争である 人は社会の中にいると 自分の利益のために他人と戦わねばならない 生存に向けた利害 利益のために 人は必然的に戦い始める これが個人主義である こうした考え方こそが アングロサクソンの資本主義の考え方で アメリカ型資本主義はホッブス主義と言える ホッブスに異を唱えるのが 個人主義に反対して 社会契約の概念を打ち立てた 18世紀のフランスの思想家 ルソーです 人が集まるところでは 個人より先に全体としての社会が存在し 個人が活動する空間を作り出す 人は社会の中で他人と関係を持つが 自分にしか服従せず 自由であり続ける必要がある 社会契約が これを可能にし 完全な社会では人々は平等である ホッブスは個人を尊び 要素から始まり 全体が構成されるという ボトムアップ理論を主張し ルソーは社会全体を尊び 社会全体から始まり 個人が生み出されるという トップダウン理論を主張します 当然のことながら このふたつの考え方は両立しません そこでヘーゲルは 他人の視点を個人の視点に取り入れることで社会は成立する 社会は 他者との和解を意味する承認という概念により 成り立っていると説きます 建前のルソー 本音のホッブス という感じでしょうか?(笑) で アメリカ型資本主義はホッブス主義と言える と言いきったガブリエルは アメリカ経済の過ちを指摘し始めます <アメリカ経済学の過ち> 現代の経済理論は 非常に複雑な数学的理論だが 社会の捉え方が大きな影響を及ぼす アメリカの経済学は 家の仕組みと社会全体の経済の仕組みを 同一視してしまっている 社会全体を家族のようなものだと考えている 社会が家族という考え方は マフィアの理論で ある家族の心理的条件を 社会の他の全ての人に強制してしまっている こうした前近代的モデルへの回帰が アメリカだけでなく全世界で生じている しかし 現代社会は複雑で 誰もが社会全体の概念を明確にできておらず そのために混乱が生じている いかにして人間が結びついているかを理解していないので 誤った概念を実行してしまう 新実在論では 社会を「複雑な関係性」と理解する 社会の複雑性を軽減することはできない そして 社会ダーウィニズムを克服して 意味ある生活の経済を手に入れることを目標となる えっ 社会ダーウィニズム ってなんだ? 意味ある生活の経済 ってなんだ?
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