モンタルチーノ スーパータスカン
トスカーナワインの解説を続けます トスカーナでは キャンテイ以外にも超有名なワインが造られています <ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ> シエナ県モンタルチーノ村周辺で サンジョヴェーゼの変異種である 酸味豊かなブルネッロ種から造られる 重厚で力強い赤ワインです ちなみにブルネッロ種の栽培面積は イタリア第一位と国民的支持を集めています モンタルチーノ村は 元々は甘口白ワインの有名な産地でしたが 19世紀に長期熟成の赤ワインが成功を収めてから イタリアを代表する赤ワインの銘醸地となりました ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは 5年以上の熟成を必要とし そのうち24ヶ月は木樽で熟成されます ガーネット色で 繊細かつ優雅な香りと果実味を備えたワインで 個性的で複雑な芳しい香りが特徴的です 包み込むような果実味と 飲み手をうっとりさせる風味があり 「イタリアワインの女王」とも呼ばれています そういえば バルバレスコも 「イタリアワインの女王」と呼ばれていましたが さすが都市国家が乱立していたイタリアだけに ワインの女王もたくさんいるのですね?(笑) <スーパータスカン> トスカーナ州のテイレニア海に面した海岸部では イタリアの土着品種と国際品種をブレンドして造られる スーパータスカンと呼ばれるワインの生産が盛んで この地で栽培されているサンジョヴェーゼは カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの イタリア土着ブドウ以外のブドウ品種とブレンドされます ボルドースタイルと呼ばれる 数種類のブドウのアッサンブラージュに イタリア土着のサンジョベーゼが加わったものですね @ボルゲリ サッシカイヤ ティレニア海に面したボルゲリは ボルドー右岸で栽培されるブドウの ポムロルやサン・テミリオンに適した土壌に カリフォルニアの気候を備えた素晴らしいテロワールで カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に さまざまなスーパータスカンが造られています この地方は サッシカイアが造られるまでは シンプルなロゼワインの産地でしたが その後 ボルドー品種のワイン産地として一気に注目され 1994年にはボルゲリ・サッシカイアが イタリアで唯一 単独ワイナリーでのDOC.昇格を果たしました しかし 最高級のDOCGまで昇格させなかったというところに イタリア政府の 自国のブドウで造られたワインのメンツを保ちたいという気持ちと プライドのようなものが垣間見えます では どうしてこの地で スーパータスカンが造られるようになったのでしょう? ボルゲリでサラブレッドの飼育をしていた 故マリオ・インチーザ・ロケッタ侯爵は 大のボルドーワインファンで シャトー・ラフィット・ロートシルトから カベルネ・ソーヴィニヨンの苗木を譲り受け 1940年代に趣味の延長として ボルゲリでボルドースタイルのワインを造っていました カベルネ・ソーヴィニヨンは 温暖から高温な場所を適地とするブドウ品種ですから ボルゲリは その産地である北緯45度に位置するボルドー比べると 緯度が低いのでより温暖で さらに穏やかなティレニア海に面した地中海性気候で 降雨量がぐっと減るので 成熟度の高いカベルネ・ソーヴィニヨンを栽培するのに 適しています さらにブドウが過熟せずに済むのは ティレニア海から日中吹き抜ける涼しい海風のおかげです ボルゲリの土壌にも秘密があります サッシカイアは トスカーナの方言で「小石の多い場所」を意味します 実際 砂利を中心とする土壌で形成されており 水はけが良い土壌を好むカベルネ・ソーヴィニヨンには 最適地となっているのです ボルゲリが専門家の間で ボルドーよりも「より安定的な」テロワールと形容されるのは そのためです 1978年に英国の有名ワイン雑誌・デカンター誌が ロンドンで有名ボルドーワインのブラインドテイスティングを行い そこにひとつだけイタリアワインをしのばせました それがサッシカイアで なんとすべてのワインの中でトップになり 一躍世界中の話題をかっさらったのです 今では サッシカイア ルーチェなどのスーパータスカンが ボルゲリで造られています でも書き手はスーパータスカンには 正直言ってあまり興味をひかれません そんなに大騒ぎするほど美味しいかな?(苦笑)
高橋医院