尿路結石の診断と治療
尿路結石の診断と治療について解説します <画像検査> @腹部単純X線・KUB 約90%の結石はKUBのみで確認できます 但し 大きさが2mm径以下の結石や X線透過性の尿酸結石は描出されにくいです @超音波 拡張した腎盂 尿管を確認することにより 結石による尿流閉塞の程度を知り また尿管に連続する結石を同定することができます 腎内の小結石の診断も可能です @排泄性腎盂尿管撮影 KUBで結石が確認しにくい場合の存在診断のほか 結石の尿流に及ぼす影響について 有用な情報を得ることができます X線陰性結石や 中部 下部尿管結石の診断が可能となり また水腎症の程度や 結石近傍の尿管の状態(屈曲)などを確認できます @CT 小さな腎結石の確認や 腎結石による腎杯や腎実質の変化をみることもでき X線陰性結石の診断にも有用です <血液検査 尿検査> @血液検査 腎機能 尿酸値 カルシウム値 リン値 を測定します 高カルシウム血症を呈する場合は 副甲状腺腺腫による副甲状腺ホルモンの過剰分泌が疑われ PTHが測定されます @尿検査 血尿の有無 尿路感染の有無 尿のpH をチェックします 尿路結石が疑われた場合 最初に行われる検査です <疝痛発作の治療> 疼痛の根本治療は 疼痛の原因である尿路閉塞の解除で 鎮痙剤 鎮痛剤の静注 筋注 座剤などによって 痛みを抑えます 尿量を増加させることも発作の軽減に有効なため 輸液を行う場合もあります 排石促進薬である カルシウム拮抗薬(ニカルジピン)やα1 遮断薬は その尿管拡張作用により 排石促進薬として海外では用いられていて 尿管拡張作用は疼痛緩和にも有効です <自然排石の促進> 自然排石 経過観察は 約60%の患者さんで行われます 結石が小さいほど 自然排石率が高く 排石までの期間が短い また結石部位が遠位の方が 自然排石率が高い傾向にあります 具体的な結石の大きさでいうと 4~5mm以下の結石は 自然に排出することが多いので保存的治療を行います 2 mm以下では8.2日 2〜4 mmでは12.2日 4 mm以上では22.1日で 自然排石されると報告されています 5mm以上の結石でも自然排出は期待でき 10mm以下の尿管結石も 約60%は1か月以内に自然排出されます 逆に症状発現後1ヶ月以内に自然排石を認めない場合には 腎機能障害や感染を回避するために 積極的治療介入を考慮すべきです 画像診断で自然排石が可能と判断される結石については 水分を多量摂取して尿量を増加させたり 体動によって結石の尿管内下降を図り 内服薬による尿管の緊張緩和も併用します <薬物治療> 10 mm 以下の尿管結石で 早急な結石除去の必要のない症例で 患者さんが同意する場合には 薬剤による結石排石促進療法が推奨されています 尿管結石の自然排石を期待できる薬剤には α1 遮断薬 カルシウム拮抗薬 があり 10 mm 以下の結石では 自然排石率が増加することが報告されています 一方 アルコールや刺激物は 発作を励起することもあり 摂取はすすめられません <砕石治療> 画像診断で自然排石が困難と判断される場合は 各種外科的処置の適応となります @治療適応 *尿管結石 10 mm 以上で 症状発現後1ヶ月以内に自然排石を認めない場合には 腎機能障害や感染を回避するため 積極的治療介入を考慮すべきです *腎結石 10mm未満では ESWLの対象となり 10~20mmでは いかなる治療法も適応となります 20mm以上だと PNLが優先的に適応されます @ESWL 体外衝撃波結石破砕療法 体外から衝撃波を発し体内の結石を破砕する方法で 外科的治療の90%以上を占めます 多くは麻酔なしで外来治療が可能なので 患者さんの負担が少ない治療法です 大きさ 数が 完全排石の予測因子になり 腎盂結石は完全排石されやすいです 一方 高齢者では完全排石率が低い傾向があります 妊婦 出血傾向がある患者さん 尿路感染症の患者さんは 避けるべきです @TUL 経尿道的結石破砕術 尿道から逆行性に内視鏡を膀胱 尿管や腎盂に挿入して 結石を破砕 除去する治療法です 経尿道的に 腎 尿管 膀胱 尿道すべての結石に対して 結石の破砕が施行可能で ほとんどの結石部位と結石の大きさにおいて 効果はESWL を凌駕しています 但し ESWLと異なり 入院 麻酔を要します @PNL 経皮的腎結石破砕術 経皮的に腰背部より腎尿路にいたるルート(腎瘻)を作成し そのルートから内視鏡を挿入し 腎尿管内の結石を砕石 除去する治療法です ESWLのみでは治療が困難で 尿管からの排泄が不良と考えられる腎結石 結石長径2cmを超える大きな結石など 比較的治療に難渋するタイプの結石が適応となります @腹腔鏡下切石術 ESWL TUL PNL でも治療が完遂できなかった症例 治療困難が予測される症例 が適応となります
高橋医院