胆石以外の 胆のう・胆管の病気は
*胆のうポリープ
*胆道ジスキネジア
があります

<胆のうポリープ>

胆のうポリープのエコー所見

@疫学

成人の5~10%は有しているとされ

40~50歳代で
健診で偶然に見つかる人が多いです

ほとんどが無症状で良性です

@種類

*コレステロールポリープ
最も多く
胆汁中のコレステロールが
胆のう壁に染み込んで沈着して
粘膜が盛り上がって出来てきます

それ以外に
*過形成性ポリープ
*炎症性ポリープ
などがありますがいずれも良性です

胆のうポリープの種類をまとめた図

@大きさ

大きさは2~3mmで 複数個のことが多く

6年間の経過観察で
50%は変化なし
25%は大きさか数が増加
25%は減少か消失
という報告があります

がんの確率1cm以下なら10% 
1.5cmまでなら25% 
1.5cm以上なら2/3は悪性 
とされています

@形

*有茎性
*亜有茎性
*広基性
に分けられ

形による胆のうポリープの種類をまとめた図
 
有茎性の多くは良性ですが
亜有茎性 広基性 不整な形をしたもののなかには
がんも見られます

エコーで見られる形による胆のうポリープの種類をまとめた図

@経過観察でよいか?

年に1回はエコー検査を行い経過観察
大きくなってこないかチェックするのが望ましく

1cmを超えたら要注意です

大きさによる経過観察の指針

@がんとの鑑別

がんだと
*1cm以上
*茎がない 太い
*形がいびつ
*胆のう壁が肥厚している
*1個だけ
といった特徴があり

こうした所見があれば 3~6か月ごとに検査します

良性を疑うポリープ がんを疑うポリープの差異を示す図

がんを疑うポリープの特徴をまとめた図
 

<胆道ジスキネジア>

@胆道ジスキネジアとは?

胆道ジスキネジアについてまとめた図

原因となる病気がないのに
胆道系の働き 動きが低下して
胆汁の流れが悪くなる病気です

胆道ジスキネジアの臨床的特徴をまとめた図

胆のう 胆管 十二指腸などの機能には
自律神経が関わるので
自律神経の異常が関与すると考えられ
機能性胃腸障害(IBD)の胆道バージョンかもしれません

50歳以上の女性に多いとされてます

@症状

食後1時間~数時間後に起こる
*上腹部の軽い痛み 胸やけ 
*腹部膨満感 気持ち悪さ
*下痢 便秘
といった症状があり

脂の多い食事のあとに 症状が出ることも多いです

胆道ジスキネジアで見られる症状をまとめた図

症状は すぐに消失する人もいれば 
数時間続く人もいます

症状に苦しむ患者さん

胆石に似た症状を呈しますが
しかしエコーなどの画像検査をしても
なんの異常も見つかりません

@どこに異常があるのか?

機能異常があるのが
*胆のう 胆管のタイプ 
*十二指腸乳頭部のオッディ括約筋のタイプ
があると考えられています胆のう 胆管に機能異常があるタイプの3つの病型

*緊張亢進性
胆のう頸部 胆のう管の緊張度が増すため
胆のうの収縮が不良になり 
胆汁がうまく排出できません

*運動亢進性
胆のうの運動が亢進しすぎて
急速かつ過剰に濃い胆汁が出ます

*緊張低下性
緊張度が低くなり胆汁の排出が緩慢になり
少ししか出ません

胆のう 胆管に機能異常があるタイプの3つの病型をまとめた図

オッディ括約筋に機能異常があるタイプ

胆のう摘出後の中年女性に見られることが多いようです

オッディ括約筋に異常があるタイプの病態を説明する図オッディ括約筋に機能異常があるタイプの3つの病型

*タイプ1
胆道痛 肝障害 胆管拡張を認めます

*タイプ2
胆道痛と肝障害 胆管拡張のいずれかを認めます

*タイプ3
胆道痛のみを認めます

オッディ括約筋に機能異常があるタイプの病型をまとめた表

@治療

胆のうの働きが
*弱っていれば 胆汁分泌促進薬
*強すぎる場合は 鎮痙薬
を用います

食事の脂の制限だけで症状が改善することが多いようです

日常生活でのストレスを
避けるようにすることも大切です
高橋医院