皮下脂肪と内臓脂肪の差異
リンゴといえばシードル!
では 梨のお酒は?
という呑兵衛のお話しではなくて(笑)
倹約遺伝子の話題で
リンゴ型肥満 洋ナシ型肥満
について言及しましたが
この単語はダイエットに興味がある方なら
いちどは耳にされたことがあるでしょう
リンゴ型肥満は
手足は細いのにお腹がつき出るような体型
脂肪は皮下組織でなく
お腹のなかの内臓の周囲に
内臓脂肪がたまります
一方 洋ナシ型肥満は
端的に言うと 下半身デブ
脂肪は皮下組織 特に腰から下半身にかけて
皮下脂肪が溜まります
この内臓脂肪と皮下脂肪
同じ脂肪でもかなり性格が異なります
内臓脂肪は
脂肪細胞の数は多くありませんが
内部に中性脂肪がたっぷりと蓄積されているので
細胞が大きく 細胞肥大型
と呼ばれます
それに対して皮下脂肪は
内部の中性脂肪のたまりも少なく小さめですが
そのかわり 脂肪細胞の数が多く細胞増殖型
と呼ばれます
内臓脂肪は
大人になってから太ってきた人に多い
いわば”新デブ”
皮下脂肪は
色々な種類の細胞が増殖することが多い成長期から
太っている人に多い
いわば”もとからデブ”
先日のブログでご紹介しましたね
で どちらが性質が悪いかというと
それは断然 内臓脂肪です
前にも言及しましたが
内臓脂肪はメタボの元凶です
肥大した脂肪細胞は
アディポカインとよばれるホルモン様物質を産生し
それらのなかには
動脈硬化やインスリン抵抗性を誘導して
糖尿病をはじめとする生活習慣病を引き起こします
また摂取エネルギーが過剰になると
内臓脂肪細胞は極限にまで肥大化して
やがて肥大の限界を超えると
蓄えきれなくなった脂肪や糖質が
血液にあふれ出る
あふれ出た遊離脂肪酸は
肝臓 骨格筋などに蓄積します
そして異所性脂肪として
それぞれの臓器の機能を低下させてしまう
異所性脂肪の弊害については
項を改めて詳しく解説します
さらに
内臓は門脈という血管を介して肝臓に直結していますが
肝臓は中性脂肪やコレステロールを作る臓器ですから
そこに原材料となる脂質がたくさん流入すると
コレステロールなどが更にたくさん作られ
高脂血症になる
いいことはありません
一方
皮下脂肪はぶよぶよしていて見た目は悪いですが
直接病気に結びつくことは少ない
脂肪細胞内に蓄えられた脂肪の量も少ないので
血中に溢れ出すこともないし
アディポカインもほとんど産生しない
ただし運動により分解されやすいのは
内臓脂肪です
ダイエットや運動により
内臓脂肪に蓄えられた脂肪は消費されるので
肥大した細胞は縮小する
しかし皮下脂肪は細胞数が増えているので
一度増えた細胞数を減らすのはなかなか至難の業です
皮下脂肪は長期のエネルギー貯蔵庫のようなもので
天変地異が起こって飢餓時代が訪れたら
皮下脂肪が多い人は しばらく食い繋げるでしょう
ちなみに
リンゴ型肥満は男性に多く
洋ナシ型肥満は女性に多い
つまり 男性は内臓脂肪が溜まりやすく
女性は皮下脂肪が溜まりやすい
その理由は また別の機会に
ということで
中年以降に体重が増えてきた方は
男性はリンゴ型肥満の増悪
女性は洋ナシ型肥満からリンゴ型肥満への変化に気をつけられ
成長期から肥満だった方は
さらに内臓脂肪の蓄積が加わらないよう注意が必要です
ダイエット中の皆さん 頑張ってください!
ちなみに 大人が楽しむリンゴやナシといえば、、、
結局オチは 呑兵衛の話?(苦笑)
高橋医院