血圧が高いので受診してください! 

と健康診断で指摘されても 
自覚症状がないのでついつい放置してしまう 
そんな方は少なくないでしょう

高血圧は たとえ自覚症状がなくても 
放置すると知らぬ間に全身の動脈硬化が進んで
脳卒中や心筋梗塞・狭心症になる可能性が高いので
とても危険です

心筋梗塞・狭心症の50% 脳卒中の50%以上が 
高血圧が原因で発症します

このグラフをみると ちょっとびっくりされませんか?

 死因の原因のグラフ

これは 
感染症以外の病気で亡くなった日本人の
死因に関与する因子を 
亡くなった方が多い順番に並べたものです

いちばん多い原因は喫煙ですが
高血圧は2位で 
喫煙と並んで他の原因を大きく引き離しています

また 
高血圧は男性の平均寿命を2.2年 
女性の平均寿命を2.9年も
短縮させています

高血圧は放置するとコワい病気なのです!


日本人の高血圧の原因で多いのは塩分の取りすぎで 
以前から社会全体で警鐘が鳴らされています

書き手が医学生の頃は 
塩分制限の目標は1日あたり10gと覚えましたが

今やその目標は達成されつつあり 
2011年の国民健康調査では
1日あたりの摂取量は10.4gでした

2015年の目標は 男性が8g 女性が7g未満ですが 
世界保健機構(WHO)の目標値は5g未満で 
まだまだ世界基準には程遠いのが現状です

 1日の塩分摂取量の目標値

さて 塩分制限の成果もあり 
最近の日本では
高血圧の有病率は年を追うごとに減少していますが

 日本人の高血圧の有病率

左のグラフの上から3番目に示されているように 
50歳代 70歳代の男性の有病率だけは 
この10年間で増加しています

お父さん 大丈夫ですか?

そして減少しているとはいえ 
50代以上の男性 60代以上の女性の半数以上が
高血圧である事実は忘れてはいけません

2010年の統計では 
全国で4300万人(男性2300万人 女性2000万人)が
高血圧に罹患していると試算されています

この患者数は糖尿病 脂質異常症 癌などを抑えて
ダントツの1位です 

 年代別の高血圧の有病率

一方で 
国が率先して
高血圧の危険性を人々にアピールしている成果か 
薬を飲んで治療している患者さんの数(高血圧治療率)は
年々増加しています

 高血圧の治療率

しかし下のグラフに示すように

薬の服用により
血圧が目標値まで
下がっている方の割合(高血圧管理率)は
年を追うごとに増加しているものの 
まだ男性では30% 女性では40%にすぎません

 高血圧の管理率

つまり

血圧の治療効果が充分に得られているのは
3人に1人にすぎない

ということです

 降圧治療の目標達成率

このデータには ちょっとびっくりしました、、、

国が行っている第2次健康日本21計画では 
収縮期血圧(上の血圧)が4mmHg低下するだけで

脳卒中で死亡する人は
全体で1万人 男性で8.9% 女性で5.8%減り 

狭心症 心筋梗塞で死亡する人は
全体で5千人 
男性で5.4% 女性で7.2%減少すると試算しています

血圧の管理や治療の重要性を改めて痛感します

健診で血圧高値を指摘されている方は 
たとえ自覚症状がなくても 
早目に相談にいらしてください

また 高血圧に加えて

*糖尿病の方
*尿タンパク陽性を指摘されている方
*家族に脳卒中 狭心症 心筋梗塞で
 治療されている人がおられる

といった
別の心血管病リスクをお持ちの方は 
より一層の早目の治療が必要ですので
充分にお気をつけ下さい 

今回から何回かに分けて
高血圧シリーズを連載します

血圧が高めの方 
高血圧で治療中の方にとって役に立つ 
興味深い話題を紹介しますので 
是非ご笑覧ください
高橋医院