中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報 


97% 

なんの数字でしょう?

ダイエットを試みて一定の効果を上げた人が 
3年以内にリバウンドして 
ダイエット開始前より太ってしまう確率

体重計に乗る人

あらゆるダイエットの実践者の
2/3は
終了時点で開始時より太っていたとか


無理なダイエットで
短期間に大巾に体重を落としても
血圧や血糖値は改善しない

との報告もあります

それでも気になる過激なダイエット

どうして現代人は
そんなに過激なダイエットに夢中なの?

そんな特集記事をニューズウイークで読みました


そもそも人は
どうしてダイエットをしたがるのか?

ダイエットをしている人

当院ではいつも患者さんに
糖尿病や高血圧にならないために
肥満に気をつけましょうとお話していますが

世の人々が過激なダイエットに夢中になるのは
「長生きしたいから 生活習慣病にはなりたくないから」
という健全な(?)理由からではなく

肥満を悪とする文化や風潮が
社会にあるからではないか?

と記事は推測します

中世以前から肥満は悪行と同一視されており
大食はキリスト教の7つの大罪のひとつでした

なんと既に15世紀のヨーロッパでは
ダイエット本がベストセラーになったとの
記録があるそうな


そういえば 
ブラット・ピッドが主演した映画「セブン」で
超肥満の人が
大量のスパゲティに顔を突っ込んだまま殺され

壁には「GLUTTONY:大食」と
書かれていた印象的なシーンがありました

食後に突き出たお腹をさする人

やがて
「太っていると
 不正な利益を得ているように見えてしまう」
という社会の視線が形作られ

近年は
「肥満を自己管理能力の欠如と結びつける風潮」が蔓延し
特に女性肥満者への差別は人種差別と同じくらい
露骨で日常的に存在しているようです


健康上の問題として
肥満と生活習慣病の関係が論じられるようになる前から

既に社会では肥満は“文化的に”悪であり

それが故に人々は
昔からダイエットに勤しんでいたのです


年間売上300億ドルと言われるダイエット関連業界が
人々のダイエット心をさらにくすぐります

アメリカ人の1/3は
15歳までに何らかのダイエットを経験済みで

痩せられるならいくら金がかかってもかまわない

たとえ寿命が縮むリスクがあっても 
可能性があるなら痩せ薬を飲みたい

と真剣に考えている人が少なくないそうで

最近は日本でも
特に若い女性の痩せ願望が激しく
それほどデブでなくてもダイエットに励み
それが故の低栄養が問題になっています

彼女たちがそんなにまでして痩せたい理由は 
同性の視線が気になるから

食事を我慢している痩せた若い女性

うーん ダイエットに走る動機が
本筋から外れているような気もするのですが、、、


このような社会状況を背景にして

最近は過激なダイエットが大流行

食事を抜いたり 
特定の栄養素を極端に制限したり
持続不可能なカロリー制限を課したり

確かにそうした無茶をすれば 
短期間に体重を減らすことはできるでしょうが

長期的には継続が難しいし

偏った栄養摂取なので
トータルな栄養不足に陥るリスクがあり

エネルギー不足で疲労を感じるし 
筋肉量が減るのも大きな問題です

最近巷で大流行の某栄養素制限ダイエットをすると
短期的には体重は減りますが
長期的にみると癌や心臓病になりやすくなる
というデータも報告されています

リバウンドで大食いしている人

そして
激しいリバウンドがかなりの高頻度で起こるし
ひどい場合は摂食障害(過食症・拒食症)などの
精神的な病に至りかねません

思春期に不健康なダイエットを経験した子供が
摂食障害になるリスクは
なんと6倍だそうです


なんのために痩せたいのか?

これは現代人にとって
意外に大きな問いかけかもしれません


記事は最後に 
そのような過激なダイエットを志す人の心の闇に迫ります

過激なダイエットに挑戦する人は夢見がちな人だ

たとえ効果がなくても 
何らかのダイエットに励むことで
肥満解消に取組む自分を肯定している

他の深刻な問題から目をそらすため
自尊心を得るためにダイエットしている

一部のダイエット依存者は
痩せることで自分の人生が変えられると 
意識的・無意識的に考えているし
痩せれば全ての問題が解決できると夢見ている

そして失敗してリバウンドすると
問題から目をそらすために 
癒しを求めてさらに食欲に走る
そんな悪循環が続きます

現代社会は 
そうした状況や 人の心が弱いのを百も承知で
過激なダイエットへの挑戦を続けさせている


うひゃー なんとも厳しい分析・指摘ですね

でも 世の中は
そんなものなのかもしれません


では最後に 
生活習慣病と取り組む医療機関の
HPの立ち位置にもどって(笑)

現在の体重を 5% 減らすだけでも
肥満で生じた生活習慣病の検査データを
改善できます

1~2か月の短期間に無理に減量しても 
リバウンドしたらむしろ逆効果です

目標は10年後に動脈硬化になるのを防ぐことで
そのためには無理なく着実に減量し 
それを長期にわたり維持することが大切です

減量に近道はなく
バランスの取れた健康な食生活の維持と
運動の継続こそが
地道な王道なのです

ダイエット中の皆さん 
無理せず しかし着実に 頑張りましょう!
高橋医院