2015・最新インフルエンザワクチン情報
秋の涼しさを実感するには もう少し時間が必要なようですが 中秋の名月も終わり あさってからはもう10月 10月といえば はやいもので 今年もインフルエンザワクチン接種が始まります <ワクチン接種推奨時期と効果持続時間> インフルエンザは 例年1月上旬から3月中旬にかけて流行します ワクチンを接種してからその効果を発揮するまでに 約2週間のタイムラグが必要です そして ワクチンの効果は約5か月間持続します ですから10月だと まだ少し早いかもしれませんが 11月になって接種すれば その冬の流行期はほぼカバーできます しかし 昨年は流行の開始もピークも速く 12月初め頃から流行が始まり 年末年始にピークを迎え 2月には既に収束に向かいました (下のグラフの青が昨年度です) 今年も同じような傾向があるかどうかは わかりませんが 去年と同じなら 12月に入ってから接種するのでは遅いことになります 出来れば11月中 遅くとも12月中旬までには 接種した方が良いと思われます <インフルエンザワクチンとは何か?> さて そもそもインフルエンザワクチンとは どんなものでしょう? 現在日本国内で使われているインフルエンザのワクチンは 不活化ワクチンという安全性が高いものです インフルエンザワクチンを接種する目的は そのウイルスに対する抗体を体内で作らせることです 不活化ワクチンとは ウイルスに化学的処理を加えて 感染性をなくしたもので 体内で抗体を作る基となるタンパク質(抗原)の成分が 含まれています だからワクチンを接種すると 体内に抗体ができて 罹りにくくなり 罹っても症状が軽くてすむ <ワクチンに含まれるインフルエンザウイルスの種類> インフルエンザウイルスには A型とB型があり シーズンの始めは主にA型が流行し 終盤にB型が流行するパターンが多いのです A型ウイルスの表面には HAタイプとNAタイプの抗原が発現していて HAには16種類 NAには9種類の 異なる抗原性があるので その組み合わせによって H1N1〜H16N9までの亜型に分類されます 一方 B型ウイルスのHAとNAは A型ウイルスに比べると多様性が低く 亜型はありません これまでに世界各国で流行を起こしたウイルスが分離され ウイルス株として保存されており 分離された場所と年度によって命名されています 名前は A or B/ウイルスが分離された地名/分離された順番/分離された年度 のパターンで記されます A/カリフォルニア/7/2009株 は A型で 2009年にカリフォルニアで流行したときのウイルスで その年の7番目に分離されたウイルスです インフルエンザワクチンは こうした保存されているウイルス株を用いて作成されますが A型ウイルスのどの亜型のどの株 B型ウイルスのどの株を用いるかは WHO:世界保健機構が過去のデータから そのシーズンに流行しそうなウイルスを予測して ワクチンに使用する推奨株を決めます そして 日本の国立感染症研究所が WHOの推薦株と日本の過去の感染状況を鑑みて 日本のワクチンで使われるウイルス株が決まります <今年度のワクチンに含まれているウイルス株> 今年のワクチンで使用される株は 去年と比べて変わりました A型(H1N1)は 昨年までと同様のA/カリフォルニア/7/2009株が使われ A型(H3N2)は 実際に昨年流行したウイルスの80%ほどが 昨年のワクチンに使用された株に比べて 抗原性が変化していたことから 昨年の流行の主流となった A/スイス/9715293/2013株に変更されました またB型は 昨年流行した山形系統に類似した B/プーケット/3073/2013株に変更され さらに 近年は世界的に 山形系統とビクトリア系統の混合流行が多いことから WHOの推奨に基づき B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)株が追加されました つまり 昨年と同じものはA型の1種類だけで A型の残り1種類とB型は変更され 新たにもう1種類のB型が追加されたのです 昨年は3種類の3価ワクチンでしたが 今年は4種類の4価ワクチンになったわけです そのためにワクチン作成費用が増え ワクチンそのものの価格は少し上がりました 地方自治体からの老人のワクチン接種の補助額が 昨年に比べて少し増えたのは そのような事情によるものです 以上 2015年度のインフルエンザワクチンの 最新情報をお知らせしました 高齢の方や糖尿病などで治療されている方は 是非お受けください また それ以外の方でも ワクチンを接種すれば たとえ罹っても症状が軽くすみますから 是非お受けください 当院でのインフルエンザワクチン接種も 10月から開始します 接種費用は 税込み3200円です 何か不明な点がありましたら 遠慮なくお問い合わせください
高橋医院