どうして女性に便秘が多いのか?
女性は 若い頃から年配に至るまで 一生を通して便秘になりやすい その理由は 以下のようなことがあります @腹筋などの筋力が弱い 腹筋は腸の蠕動運動をサポートするので 腹圧(腹筋力)の弱さは 排便時のいきみの弱さにつながります @女性ホルモンの影響 閉経で女性ホルモンの分泌が減ると 自律神経が不安定になり 便秘につながることもあります 腸の動きは自律神経で制御されているため ホルモンバランスの乱れが そのまま腸の不安定さにつながってしまいます @極端なダイエットの影響 食事を制限すると 必然的に便の量も減ることになり 排便の習慣がなくなってしまい そのために便秘となり 慢性化するというケースはよくあることです @便意を我慢してしまう なかなかタイミングよくトイレに行けず 便意を我慢すると 体は便を溜めている状態に慣れてしまい 自然な排便ができなくなる可能性があります なるほど さまざまなことが 排便に影響を及ぼしているのですね では そもそも どうやって排便は行われるのでしょう? 胃で消化され 十二指腸や小腸で栄養分を吸収された食物残渣は 大腸に入ります 大腸は *右下腹部から右上腹部に昇る上行結腸 *右上腹部から左上腹部に向う横行結腸 *左上腹部から左下腹部に降りる下行結腸 *左下腹部から肛門に向うS状結腸 *肛門につながる直腸 の各パーツにわかれ 食物残渣が上行結腸から下行結腸にかけて 通過していく間に形成された便は S状結腸で蓄えられ 大蠕動により直腸に充填されます 正常な状態では 直腸にある程度の量の便塊が充填されると 直腸壁が伸展して その刺激が大脳に伝わって 便意を感じます 便意が感じられると 内肛門括約筋による肛門の弛緩 骨盤底筋群の共同運動 などが起こります 肛門の周囲には こんなに沢山の種類の筋肉が存在していて それらの共同運動により 直腸がまっすぐ伸びて 肛門の出口が緩んで 意識的な排便行動が行われます 安静時 便意を感じていないときは 直腸は 恥骨直腸筋により恥骨(下腹部前方にある骨盤部) にむかって牽引され 直腸肛門角というくびれを形成しているので 便は肛門に向って降りていきませんし 肛門は内肛門括約筋によって締まって 物理的に閉塞しています 直腸壁伸展刺激が起こると 内肛門括約筋の反射的弛緩により 便は肛門をまさに出るところまで 来るようになります ちなみに このとき 肛門の非常に繊細な感覚は そこにあるものが便なのか ガスなのか 液体なのかを瞬時に判別し ガスであれば その場で外肛門括約筋を意識的に緩め 腹圧をかけてガスを排泄し(放屍) 便であれば 外肛門括約筋を絞め 排便場所まで便を出さないように維持します おならを出すべきか 便を垂れ流さないように肛門を締めるか そんなことが無意識のうちに 決定されているのですね いつもながら ヒトの体はホントに良くできていて驚きます さて 実際の排便は *前傾姿勢を取ることで 上述の肛門直腸角のくびれが より鈍角に(直線に近く)なり *さらに腹圧がかかると 恥骨直腸筋が弛緩するので 直腸が真っすぐ伸びて スムーズに排便できる状況ができ *意識的に肛門括約筋が弛緩されると 排便が行われる といった機序により行われます そして 排便後に直腸内圧が急激に減少することで 快便感が得られます ネコや赤ちゃんが 排便後に“ウンチハイ”状態になるのは そのせいですし 大人だって すっきりウンチが出ると気持ちよくなりますよね(笑) ところが こうした精緻な排便機能が障害された状態が 便秘です どうですか? 勉強になったでしょう?(笑) 普段何気なく トイレでいきんだり ときにはオナラしたリしていますが(苦笑) ウンチを出すにも 我慢するにも オナラを出すにも 肛門括約筋や恥骨直腸筋などが連動した さまざまな微調整が 行われているのですね そう考えると 排便という行為はなかなか侮れません(笑)
高橋医院