不思議の国のアリス
イギリスの そして世界の文学史上に燦然と輝く ルイス・キャロルの名作 背伸びして格好をつけていた高校生の頃 書き手は 対訳版の Alice’s adventures in wonderland を片手に その軽快なパロデイやナンセンスな言葉遊びを さも原語で楽しんでいるかのように 振る舞っていましたが (なんて気障な奴!:苦笑) 本当は 何も理解できていなかったのですよ!(笑) だって 英語のパロデイが解らないのはもちろんだけれど 日本語訳を読んでも なんだかよくわからないストーリーなのだもの!(再笑) それでも アリスの物語には 何か惹きつけられる魅力がありました だから 2年程前に イギリスのロイヤルハウスバレエの日本公演で 演目にアリスを持ってきたときに これは見てみたい! と思って チケットの抽選に挑んだのですが あえなく ハズレ!(苦笑) でも そのリベンジを果すチャンスが 遂にやってきました! 先日 真夏の夜の夢 を楽しんだ ロイヤルオペラバレエのシネマシリーズで なんと 不思議の国のアリスを上映するのですよ! しかも 2017年10月 今シーズン開幕日の公演の録画です 発売開始日にしっかりと チケットをオンライン購入して お馴染みになったコレド室町の映画館に足を運びました さすがに 人気演目のアリスだけあって いつもより観客は多めで しかも若い女性が多く ポップコーンを手にした人は少ない! 書き手は ちょっと照れながら でも しっかりと ポップコーンをつまんでいましたよ(笑) さて 前述したように このお話の魅力は 奇想天外なストーリーと ウイットに富んだ言葉遊びですが バレエは ご承知のように セリフを発しないマイムの世界です はたして バレエで アリスの世界の魅力を表現することは 可能なのでしょうか? はい とっても可能でした! すごく面白かった! バレエ 音楽 舞台装置 目で見て 耳で聴いた方が 前頭葉で難解なパロデイやナンセンスな言葉遊びを 理解しようとするより ずっと楽かもしれません 考えてみれば 当たり前?(笑) アリスが白ウサギを追いかけて ウサギの穴に飛び込んでから 次から次へと経験する 摩訶不思議な世界 振りつけ師のChristopher と 作曲のJobyは ほとんど5分おきに 場面が変わるような勢いで アリスの世界を 軽快に 華やかに 小気味よく 表現していきます いやー これは 面白いし 楽しい! 舞台装置も 現代的で 華やかで 美しい! バレエのダンスそのものは クラシックはもちろん しっかりテクニックを見せてくれますが コンテンポラリー的な振り付けもあり マッドハンターが踊るパートでは なんとタップを踏ませます! 幕間の解説で マッドハンターを演じたダンサーが インタビューに答えていましたが (こういう解説があるのが シネマバージョンの美味しいところ!) タップは下半身を落とし バレエは逆に下半身を上に上げるので その連続を繰り返し行うのが醍醐味であり きついところだそうで なるほどです! いちばんの見どころでもある 悪役のハートの女王が踊るシーンは 眠りの森の美女で ヒロインが踊る名場面をイメージしたそうで そうか オマージュとパロデイを兼ね備えた演出なのですね! しかも 強烈な個性が際立つハートの女王を演じるのは 前回ご紹介した 20年にわたりロイヤルバレエのプリンシパルを務められた 実力者のゼナイダ・ヤノウスキーさん そりゃ 舞台が 華やかで 滑稽で しかも美しくなるはずです! ということで この アリス 原作にあふれる風刺精神を バレエの舞台の上で しっかりと形を変えて表現しているわけで まさに 新たなアリスの冒険の世界を 創り出していました! これは 観る者は 次から次へとワクワクできて楽しいし 世界中で大人気を博すのもうなずけます 幕間が2回あり 舞台だけで2時間以上 幕間の解説も含めると 全部で3時間を超える長丁場でしたが 全く飽きることなしに 楽しめました! そして またチャンスがあれば 今度はナマで あの不思議な世界に浸ってみたいと思うのでした!
高橋医院