日本は愛煙家に甘い社会?
世界は愛煙家には厳しい対応をしていますが 日本はどうでしょう? <WHOの対応> 世界保健機構・WHOは2003 年に 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」 を採択しました それによると *タバコ価格・税の引上げ *職場・公共の場所での喫煙規制 *包装上の警告表示 *タバコの広告・販売促進・後援の規制 *禁煙治療の普及 *未成年者へのタバコ販売禁止 といったことが全世界規模で行われるべき と推奨されています <日本の対応 問題点> @日本の喫煙対策は生ぬるい という意見が少なくないようです 厚生労働省主導の「健康日本21」においても 「がん対策推進基本計画」においても タバコ産業界などの反対により 喫煙率削減の数値目標すら 設定されていないのが現状です 「たばこ産業の健全な発展」を目的とする 「たばこ事業法」の制約もあり タバコ箱の注意表示は WHO条約が求める 「大きく 明瞭で 読みやすい健康警告」 とはなっていないうえに 広告規制は業界の自主基準によるなど 問題点が多い 2006年に実施された タバコ税・価格の引き上げは 1 本約1 円の小幅なものにとどまっています このように日本のタバコ規制は WHOの勧告には程遠いのが現状で 2006 年に「ニコチン依存症管理料」が新設されて 禁煙治療が保険適用となったことが 唯一評価できるという 厳しい意見もあります @日本は脱タバコ社会実現度の最後進国 日本のタバコ規制対策を 客観的に評価してみると ヨーロッパ30カ国と比較して 最下位に位置しており 残念なことに 脱タバコ社会実現度の最後進国 であることが判明しています 職場や公共の場所における禁煙では 22 点満点中3 点と 極めて評価点数が低く 全建物内禁煙を実施している職場は 少ない状況でしたが 最近になって ようやく改善傾向がみられてきていて 愛煙家には厳しい世の中に なってきつつありますが @日本のタバコは安すぎる タバコ価格の引き上げは 最も効果の大きい喫煙抑制政策で 未成年者を含む青少年や 収入の低い (健康管理の機会に恵まれない)人々の 喫煙を抑制し 彼らの将来の疾病予防や医療費減少にも 寄与することになります しかし 日本のタバコは安すぎる タバコ1箱の値段は ニューヨークで約950円 イギリス約820円 と高額ですが なんと日本は 先進国でもっともタバコの安い国のひとつなのです カナダでは タバコ税を10倍にしたところ 未成年者の喫煙率が 46%から16%へ下がったと報告され WHOも 青少年を守るために 加盟国が一致してタバコ税を上げるように 求めています どうして日本の社会は こんなに喫煙に甘いのでしょうか? <日本社会のタバコ流行の状況と今後の展望> 社会におけるタバコの流行と衰退は *第1期 男性の喫煙率の増加 *第2期 男性喫煙率の減少開始と 女性(および未成年)の喫煙率の増加 *第3期 女性と未成年の喫煙率の減少の開始と 喫煙関連疾患死亡の増加 *第4期 喫煙関連疾患死亡が減少 の4つのステージにわけられます イギリスやフィンランドは すでに第4期に達していて 肺がんなど喫煙関連疾患が減少傾向にありますが 日本は 女性および未成年の喫煙率の増加が ようやく減少に転じ 男女ともに喫煙関連疾患が増加している 第3期にあります 第3期の喫煙関連疾患の増加は まだ10年以上続くとみられるので まだまだ社会全体の努力が必要です
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