受動喫煙の恐ろしさ
喫煙している人の周囲にいる人が 自分の意思とは無関係に 喫煙者が吐きだすタバコの煙を 吸ってしまうことを 受動喫煙 と言います たとえ自分がタバコを吸っていなくても 周囲の人が吸っているタバコの 煙を浴びることで 健康障害が起きてしまいます 受動喫煙により 健康障害を引き起こすことが 科学的根拠により証明されているのです 世の愛煙家さんたちには 自分が吸っているタバコの煙が 周囲の人々の健康を害している事実を 是非とも認識していただきたいと思います <副流煙> タバコの煙には *タバコから直接喫煙者に吸い込まれる主流煙 *点火部分から大気中に散布される副流煙 があります 副流煙は 喫煙者から吐き出される主流煙とともに 生活空間を汚染し 周囲の人が吸入して肺に至ります 副流煙には 2000 種類以上の化学物質が含まれていて 不完全燃焼状態で発生する副流煙の方が 主流煙よりも化学物質の量が多く 発がん性の高いN-ニトロソジメチルアミンは 数10 倍も多いと報告されています <受動喫煙による健康被害> @発症リスクの増加 家庭や職場の受動喫煙により 咳は2.6〜3.8倍 痰は1.4〜4.5倍 息ぎれは1.4〜4.5倍 それぞれ増加し 気管支喘息は1.4〜1.6倍 慢性気管支炎は1.7〜5.6倍 それぞれ発症リスクが増加します その他 さまざまな病気が受動喫煙により起こることが 判明しています @死亡率の増加 三大死因 (がん とくに肺がん 心筋梗塞 脳卒中)が 受動喫煙により 2〜8割増えるとも報告されています 心筋梗塞死は1.2〜1.3倍 脳卒中死は1.8倍 肺がん死は1.2倍増加 受動喫煙者の数%が 最終的に受動喫煙で死亡してしまい 毎年アメリカで数万人 日本で1万人が受動喫煙死しているのです @心筋梗塞の増加 受動喫煙より *短時間の受動喫煙でも 頭痛 頻脈 皮膚温低下 血圧上昇がおきる *血がかたまりやすくなり 動脈が硬く細くなって 心筋梗塞を起こしやすくなる *30分ほどで心筋梗塞などが起こることもある といった不具合が起こり得ます そして 受動喫煙をうける人の1~3%が 受動喫煙が原因となった心筋梗塞で 死亡します タバコを吸わない人の 心筋梗塞の死亡のうち 20%は周囲の人のタバコの煙が原因と 考えられています 家族や同僚がタバコを吸っている人は 心筋梗塞のリスクが増えます 受動喫煙の心筋梗塞リスクへの悪影響は コレステロールが30mg/dL 血圧が30mmHg上がったのと 同じなのです! @肺がんの増加 家族や同僚がタバコを吸っている人は 肺がんのリスクも増えます このように 喫煙者がいるお茶の間やオフィスは まさに危険区域と言えるのです <子供への影響> 子供たちも 受動喫煙の被害を受けています 親の喫煙により生じる 低体重出生 気管支喘息などで 毎年数十万人のこどもが苦しめられています 乳幼児突然死症候群は 家庭内の喫煙者の存在 特に父母の喫煙と密接に関連しています それ以外にも 自然流産1.1〜2.2倍 乳幼児突然死4.7倍 低体重出生1.2〜1.6倍 肺炎・気管支炎1.5〜2.5倍 気管支喘息1.5倍 咳 痰 喘鳴1.5倍 むし歯2倍 中耳炎1.2〜1.6倍 など 枚挙に暇がありません <受動喫煙の被害は少量からでも表れる> このように喫煙は 周囲の人々の健康に悪影響を及ぼしますが その被害は アルコールにより健康被害と異なり 少ない量からでも顕著に表れるのが特徴です ですから 厄介で 充分に注意しなければなりません <対策> 受動喫煙の対策は 完全禁煙につきます 換気 空気清浄機などの対策では 受動喫煙は減らせません 完全禁煙以外に 受動喫煙から非喫煙者の健康を守る対策は ないのです <喫煙が社会・経済に及ぼす影響> ちなみに 受動喫煙とは直接関係ありませんが 喫煙は社会・環境にも悪影響を及ぼします タバコは火災の原因となり 日本では全火災の9.6%(第3位)を 占めていますし 陸起源の海岸漂着ゴミは タバコの吸殻やフィルターが第1位で24%を占め 道路でのポイ捨ても含め 環境汚染の原因になっています さらに タバコによる経済的損失も 意外に大きいのです 喫煙による経済的損失は 喫煙者の直接超過医療費が1兆2900億円 受動喫煙間者の直接超過医療費が146億円 喫煙による労働力の損失が5兆8000億円 火災による損失が2200億円 合計で 7兆3246億円と推計されています タバコを買うときに ちゃんと税金を払っていると 文句を言われる愛煙家がおられますが タバコによる経済的損失は タバコ税収をはるかに上回っている現実は もっと認識されるべきかもしれません
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