記者さんが疑問を呈される
不健康な「健康帝国」
の話を続けます

@組織による健康管理が強化される社会

現行の健康保険には
その保険組合に属する組合員が
メタボ健診を
ちゃんと受けているかいないかで
国からの経済的支援に
差をつける仕組みがあるそうです

メタボ健診を受けている様子

組合員のメタボ健診受診率により
健保組合の評価が異なり
インセンティブに差が出るし
悪い場合にはペナルティーもつく

政府は今後
このペナルティーやインセンティブを
さらに強化する方針で

健康保険組合から加入者に対して
「ちゃんと健診を受けろ」
という圧力が強まる可能性が高い

また 
企業や会社も
社員の健診受診率や 
その後の医療機関の受診率により
社会から評価される時代になっています

社員の健診受診率などにより会社が評価される仕組みを説明する図

前回紹介したように
社員が健診を受けないと
本人と上司のボーナスを
カットする会社もあります

記者さんは

健康にいいものは
社会全体で「善」とされ
悪いものは「悪」とされる世の中は 
ちょっと怖くないですか?

あなた生活習慣が悪いから
ペナルティーねと
個人の自由を制限する社会は
息苦しくならないか?

と懸念を示されます


書き手は
管理が過度に行き渡る社会は
好ましくないと思いますし
単純にはっきりと白黒をつける考え方も 
得意ではありません

ただ 医療者の立場としては
多くの人たちに
生活習慣の改善で
本格的な生活習慣病になるのを
防いでほしいし
そのためにペナルティーも含めて
対策を考える必要はあると思います

でも 
生活習慣が上手く改善できない方は
往々にしてそんなシステムは 
平気で無視してしまう(苦笑)

それに 
確かに不健康な生活を選択するのも
個人の自由ではありますからね

うーん 難しいですね


@自己責任論が強化される

記者さんは
さらに突っ込んで
警鐘を鳴らされます

何らかの理由で
努力してこなかったり
できなかったりした人が
病気になったとき
「自己責任だから」と
社会保障から排除してしまう
そんな危険性はないでしょうか?

病気になった原因の
どこまでが
「不可抗力」「生まれつき」で
どこまで
「自己責任」なのか 

そんな線引きはできない


確かにおっしゃるとおりで
そうした極論に走らないように
ブレーキをかけるのは
重要なことだと思います

特に今の世の中は
単純かつ極端に白黒をつけたり 
過度な極論に走ることが
好まれる傾向があるので
余計に気をつけないといけません

白黒をはっきりつけたがる人のイラスト
書き手は こうした
「病気になるのは自己責任か?」
という問題提起に対して

繰り返しになりますが

100%自己責任ではないけれど
自己責任の部分もある
と思います

ただ 自己責任論が極端に走って
病気になった人たちを
差別したリ斬り捨てたりするような社会は
確かに「不健康」だと思います

自己責任かどうか迷う人の姿

あなたは自分で努力していないから
もう継続して診療するのはやめましょう 
とは言えないし
言いたくありませんから
高橋医院