世界の砂糖税の様子を見てみましょう

<砂糖税が生まれた背景>

世界保健機関(WHO)が推奨する
1日あたりの糖分摂取量摂取カロリーの5%未満で
砂糖に換算すると
25グラム(小さじ6杯分・角砂糖6個分)に
相当しますが

推奨される1日あたりの糖分摂取量は25グラム・小さじ6杯分であることを示すポスター

この量は

約40グラムの砂糖が含まれる
炭酸ジュースや缶コーヒーを1本飲むと
簡単にオーバーしてしまいます

缶ジュース 缶コーヒーなどに含まれる砂糖の量を示す図

上図が示すように
炭酸飲料 缶コーヒーは
もちろんのこと
スポーツドリンクなどにも
意外にたくさんの砂糖が含まれているので
要注意です

このように
誰しもが砂糖の過剰摂取が
身近にある生活をするなかで

砂糖への課税によって
その摂りすぎを抑制し肥満を防ぎ
糖尿病などの病気の発症を
予防するとともに

拡大の一途をたどる医療費を抑え
安定した健康医療財源の
確保につなげる

という目論見で 
砂糖税がスタートされました


<世界の砂糖税>

アメリカの一部 メキシコ
フランス ノルウエー デンマークなどでは
既に先進的に取り入れられていましたが

前回ご紹介したように
2016年にはWHOが加盟国に導入を促し
実際に導入する国が増えてきました


2017年には
ポルトガルやスペインの
一部地域で導入されたほか

2018年には
イギリスでも導入され 
話題を呼んでいます

砂糖税を導入している国を示した世界地図

@メキシコ

2013年から
清涼飲料水には
1リットルあたり1ペソ(約5円)
ジャンクフードには
価格の5%が課税されましたが

砂糖税を導入した最初の1年間で
砂糖入り清涼飲料水の
消費量が5%下がり
次の1年間でさらに10%下がりました


@ハンガリー

2011年に
「ポテトチップス税」を導入し

スナック菓子 クッキー
炭酸飲料 栄養ドリンクなどの
塩分や糖分が多い飲食料品を対象に
5〜20%の税金が課されています

ジャンクフードへの課税を示すポスター

メキシコでもハンガリーでも
砂糖だけでなく
ジャンクフードにも
課税されているのが驚きです

ハンバーガーへの課税を示すポスター

@ノルウエー

砂糖税を
既に1922年から導入していますが

糖分を含む清涼飲料水のみならず
すべてのスイーツ チョコレート
チューインガムや甘いビスケットにまで
1kg当たり
約3ポンド34ペンス(約486円)が
課税されています

2021年までに
1人あたりの砂糖摂取量を12.5%減らす
という目標まで掲げていて
子供の肥満を抑えられていることに
自信を深めています


@イギリス
 
2018年から砂糖税が始まりました

100mL当たり5g以上の砂糖を含む飲料が
対象となり
8gより多く砂糖を含む飲料は 
さらに税率が上がります

前者は1L当たりの税額が
18ペンス(約28円)なのに対し
後者は24ペンス(約37円)程度となり

イギリスでの砂糖税の説明図

普通のコーラやペプシは 
後者の高いレートに
ファンタやスプライトは
低いレートに入ります

こうして 炭酸飲料に
約5億2000万ポンド(約820億円)の砂糖税が
課される予定です

しかし 
炭酸飲料と同様に
たっぷり砂糖を含んでいる
チョコレートやケーキは 
課税対象にはなりません

たまに食べるおやつに比べ
炭酸飲料は毎日飲みがちだから
そちらに課税する方が効率的
という判断からですが
 
チョコレート税も導入すべき
という議論も巻き起こっていて

オックスフォード ケンブリッジなどが
共同で実施した研究により
チョコレート税には
砂糖税よりも
肥満抑制に効果がある可能性が示唆され
今後 導入の是非をめぐる議論が
活発化しそうです

世界の砂糖税 ジャンクフード税を示す表

一方で 
砂糖税に反対する英国の団体は
不当に砂糖を肥満の主な要因に
仕立て上げている
と批判しているそうで

肥満抑制が目的であれば
飽和脂肪の摂取を減らし
運動を増やすこともできる

さらには食品ラベルに
警告表示を入れたり
広告を規制したりして
健康な食品を選択するよう
マスメディアを通じて
呼びかけたりすることもできる

と 砂糖だけを悪者にする風潮に
異を唱えています

砂糖税への賛成意見 反対意見をまとめた表

ちなみに世界経済フォーラムは
肥満が蔓延する規模の大きさから
はっきりとした肥満抑制効果をあげるには
これらの全てが
必要になるだろうとしています


確かに 
その通りかもしれませんが
だからといって
砂糖税は無意味だという議論には
ならないでしょう


ちなみに 砂糖税ではありませんが
デンマークでは2011年に
飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる
乳製品 肉類 加工食品などに
1キロあたり16クローネ(約220円)課税する
“脂肪税”が導入されました

しかし 
導入わずか1年後の2012年に
廃止に追い込まれました

食品価格が高騰して
近隣国に国民が買い物に
行くようになってしまい
期待した効果が
得られなかったからだそうです


それにしても世界には
食品や飲料に関わる
さまざまな税があるのですね

日本では見聞きしたことがないので
びっくりしました!
高橋医院