健康格差を
どのようにして解決するか

興味深い具体例が紹介されます

@イギリスで行われた塩分摂取量軽減の試み

イギリスでは
高血圧の原因である過剰な塩分の
最大の摂取源がパンだったので
塩分摂取量の低下のために パンの塩分を減らしました

急に減らすと
消費者が不味さを実感して買わなくなるので
消費者が気づかない程度の
ゆっくりした塩分の減量を毎年継続して行い


パンの塩分の経時的な減量を示したグラフ

7年間で1日摂取量を1g以上減らしたところ
心血管病の死亡率が40%減少し

パンの塩分の減量に伴う心血管病の死亡率の減少を示すグラフ

2300億円以上の医療費が削減できました


@足立区の糖尿病対策

足立区は23区平均と比べ
健康寿命が2歳短く 
所得は23区最低で
糖尿病患者が一番多く 
透析患者数も多いそうです

足立区では健康寿命が2歳短く糖尿病患者が一番多いことを示す図

住民の健康に関する意識も決して高くないので

足立区では透析患者が多いことを示すグラフ

役所は 
健康への意識が低くても
いつの間にか健康になれる作戦を考案しました

飲食店 コンビニ 牛丼店などでの
野菜摂取量を増やす試みで
お店に 
お通しで野菜を先に出すように依頼して
総菜の野菜量も増やしてもらいました

足立区のお店で提供される野菜量を増やした料理

野菜は出されれば食べるけれど 
自分からは食べないので
知らぬ間に野菜をたくさん食べる食環境づくりを試み

補助金は出しませんが 区のHPでお店を宣伝しました

足立区の野菜増量キャンペーンのポスター

また 子供の食生活の改善
野菜を食べさせる習慣づけをすることも目論み
区立保育園で野菜を食べる日を増やしました

こうした試みにより
区民1人あたりの年間野菜摂取量は
5Kg(キャベツ5玉)増加し
重い糖尿病患者の数も減らすことができました


<ハイリスクアプローチでなくポピュレーションアプローチを>

健康格差を解消するには
従来の啓蒙的指導では限界があると
考えられています

啓蒙により健康に気を配るようになるのは
もともと健康意識が高い人だけで
そういう人はより健康になり
そうでない人は
逆にどんどん不健康になってしまいます

低所得者は
生活に余裕がないので 健康に気が配れないし
健康な食生活へのリテラシーも低い

だから
個人の心掛け 努力を促し 
個人のモラルに訴えるのではなく
不健康にならない社会環境を
自然に作ることが重要な解決策になります

社会全体を巻き込んだ包括的な施策が望まれ

社会全体を巻き込んだ包括的な施策の説明図
それは 
対象をハイリスク群に限定しない
ゆるやかな取り組みと言えます


従来の公衆衛生 予防医学で
行われてきたのは
ハイリスクアプローチと呼ばれる方法で

対象をリスクがある人に限って
施策を行いました

ハイリスクアプローチについて説明した図

この方法は
結核などの感染症対策としては有効でしたが

健康格差対策ではうまく機能しませんでした

実際に
残念ながらメタボ対策はうまくいっていない

メタボの認知は向上しましたが
該当者や予備群の数は減っていません

ハイリスクアプローチの欠点を説明した図

リスクがある人の数が膨大すぎて
長期に渡り健康状態を維持するための指導法が
まだ確立されていないのです

では どうすればよいのでしょう?
高橋医院