痰を見てわかること 痰の治療
喀出された痰を観察 検査することで 病気の診断に役立ちます <外観からの痰の分類> 痰は外観から *サラサラしている漿液性 *粘り気のある粘液性 *色や匂いのある膿性 に分類されます @漿液性の痰は 肺うっ血などの感染を伴わない病気 @粘液性の痰は 気管支炎 喘息 COPDなどの病気 色がついていなければ 細菌感染の可能性は少ないと考えられます @膿性の痰は 細菌感染による病気 の場合に多く見られます <膿性の痰の色> 膿性の痰はさまざまな色を呈しています 淡黄色の痰が多いのですが 膿の量が増えてくると 濃い黄色から緑色を呈するようになります 感染した細菌の種類と痰の色は ある程度の相関関係があり *緑色だと 緑膿菌 *オレンジ色だと レジオネラ *鉄さび色だと 肺炎球菌 *イチゴゼリー状だと クレブジエラ *黒色 褐色だと 真菌 が それぞれ疑われます <赤色 黒色の痰> 赤い痰 黒い痰は 細菌感染とは異なる意味合いがあります 血の混入が示唆されるからです 原因としては 感染が最も多いのですが 肺がん 気管支拡張症 結核といった 重篤な病気の可能性が否定できません 咳をし過ぎた場合に 気管支が傷ついて 喀痰に糸を弾くような細い血が 混じることはありますが 赤や黒の塊が混じっていた場合には すぐに医療機関を受診するようにしてください <痰の治療> 痰がたくさん出ると日常生活で困りますし 痰が詰まって喀出できないと 気道閉塞や感染源になり危険ですから 痰の治療を行います 痰の治療薬は *気道分泌物の産生 分泌を抑制する薬 *分泌物の喀出をよくする薬 の2種類に分けられます @気道分泌物の産生 分泌を抑制する薬には *気道の杯細胞を抑制して粘液産生を抑制する *粘液に含まれる 活性酸素 プロテアーゼなどの化学伝達物質の 産生 放出を抑制する *副交感神経の働きを抑制して 粘液分泌を抑える といったタイプがあります @分泌物の喀出をよくする薬には *分泌物の粘りを減らす *線毛運動を促進する といったタイプがあります これらのタイプの薬を 患者さんの痰の量や性状により 使い分けます 粘液性の喀痰には 痰のムチンを分解して粘りを低下させる 喀痰溶解薬のビソルボン ムコフィリン 肺のサーファクタントを分泌亢進させ 粘液と気道上皮との粘着を低下させる 粘液潤滑薬のムコソルバン などが用いられ 漿液性の喀痰には 粘液の構成成分を正常化させる 粘液修復薬のムコダイン 副交感神経の働きを抑制して 粘液分泌を抑える 抗コリン薬 が主に使われます 書き手は患者さんに 「喉のあたりに詰まるような感じがあるか?」 「痰がネバネバしているか?」 をうかがい ある場合は ビソルボンやムコソルバン サラサラした痰がたくさん出る場合は ムコダインや抗コリン薬を それぞれ処方する場合が多いです <ご自分の痰の状態の 医師への伝え方> このように ひとくちに痰といっても 色々なタイプがあり 使われる薬も異なります ご自分の痰が *いつ頃からでるようになったか *どんな色をしているか *サラサラかネバネバか *量は多いか少ないか *喉に詰まった感じがするか といった観点からチェックされ そうした状態が 時間的経過によりどのように変化しているかを 医師に話していただけると たいへん参考になりますので よろしくお願いします
高橋医院