新型コロナウイルス対策に
我慢を余儀なくされる毎日ですが

これを機会に 
ウイルスについて解説します

<ウイルスってなに?>

ウイルスは
30億年前には地球上に存在していました

猿人が登場したのは700万年前
私たちの祖先のホモ・サピエンスが
登場したのは20万年前

ですから 
ウイルスは地球上に
ヒトとは比べものにならないほど昔から
存在し続けているのです

ウイルスが太古から存在していたことを示す年表

そして 地球上で
最大の多様性を有する
最も種類 数の多い生命体で
約5400種類のウイルスが存在しています


<ウイルスの前に細菌!>

最近でこそ
ウイルスは花形として注目されていますが

17~19世紀にかけて
ウイルスより先に注目されていた微生物は
細菌です


1676年
オランダの研究者レーヴェンフックが

レーヴェンフック

顕微鏡を用いて細菌を発見すると

当時の顕微鏡

1860年
ルイ・パスツール
ワイン ビールの発酵が
細菌の増殖によることを証明しました

そして1876年
ロベルト・コッホが 
炭疽菌を固形培地の上で純粋に培養し
それを羊に接種して炭疽を起こすことを
証明しました

近代微生物学研究の幕が
切って落とされたのです

パスツール コッホ
斯界の超有名な巨星たちです!

パスツールとコッホ


この後に続く「細菌の狩人の時代」で
病原菌ハンターたちにより
結核菌 コレラ菌 ジフテリア菌 大腸菌 破傷風菌などの
さまざまな伝染病の原因としての細菌が
次々と同定されました

野口英世 北里柴三郎などの
日本人のスターハンターたちも大活躍しました

野口英世と北里柴三郎


<ウイルスの時代へ>

華々しい細菌の狩人の時代が終わりを迎えると
微生物界の主役が交代します

1897年
世界で初めてのウイルスが発見されます

コッホの門下生のフリードリヒ・レフラーフリードリヒ・レフラー

牛の口蹄疫の原因微生物の探索中に

顕微鏡では見えず
細菌をろ過する陶器製の器(シャンペランろ過機)を通過する
新たな感染症の病原体を発見しました

シャンペランろ過機を通過するウイルス

これが世界で初めて発見された
動物に感染する動物ウイルスですが

この病原体はこの時
「濾過性病原体」と呼ばれました

さらに同じ年に
オランダのバイエリンク
タバコの葉の病気のタバコモザイク病の原因微生物を
突き止めました

タバコモザイクウイルス

タバコモザイクウイルスの電子顕微鏡写真

世界で初めての
植物に感染する植物ウイルスの発見です


こうして 奇しくも同じ年に
動物ウイルスと植物ウイルスが発見されて
ウイルスの時代がスタートしたのです


ちなみに
ウイルスという名称は
パスツールによりつけられました

彼は 狂犬病の原因微生物の探索中に
顕微鏡で見ることができない
細菌ろ過器を通過する液体に含まれる
微生物の存在を想起し

ラテン語の「毒液」を意味する
「ウイルス」と名付けたのです

パスツールの予見通り
レフラーは 細菌ろ過器を通過する液体に含まれる
病原体微生物を発見して
「濾過性病原体」と名付けましたが

キャッチーな名前を付ける才能は
パスツールに及ばなかったようです

さすが
ワインを愛したパスツールだけあります!

ワインを愛したパスツール

そういうのは やはり
ドイツ人よりフランス人の方が
センスあるのかも?(笑)
高橋医院