パリ・オペラ座バレエ団の日本公演

もうひとつの演目は オネーギン

プーシキンが書いたオネーギンの本

書き手は初めて拝見する演目です

ロシアの文豪 プーシキンの文学作品を
チャイコフスキーの音楽にのせて
ドラマ性があふれるバレエにしたものです

ストーリーは けっこうエグイもので(笑)

サンクトペテルブルグの青年貴族のオネーギンは
都会の喧騒に疲れ 
友人の招きで訪れた田舎の村で
美しいタチヤーナに出会います

それまで恋愛に全く興味がなかったタチヤーナは
突然現れたオネーギンに一目ぼれ

夜中に自らの寝室で 
オネーギンのことを思いながら
一心不乱に情熱的な恋文をしたためます

恋文をしたためるタチヤーナ

夢の中で オネーギンと踊るタチヤーナ

夢の中でオネーギンと踊るタチヤーナ 


しかし 
田舎娘とのひとときの気まぐれ遊び
と思っていたオネーギンは
タチヤーナの前で恋文を破り捨て

あげくの果てに
村に連れてきてくれた友人の彼女をたぶらかし
怒った友人に決闘を仕掛け
彼を殺して村を去っていきます

悲嘆にくれるタチヤーナ


そして時はたち 
サンクトペテルブルグの華やかな社交界

サンクトペテルブルグの華やかな社交界

放浪の果てに故郷に戻ったオネーギンは
友人の公爵宅で開かれた舞踏会で
ひとりの美しい女性に魅かれます

なんと彼女は 
気品あふれる公爵夫人となっていた
タチヤーナだったのです

気品あふれる公爵夫人となったタチヤーナ


自らが犯した過去の過ちを悔い
タチヤーナに謝罪と求愛の手紙をしたため
彼女の寝室を訪れるオネーギン

タチヤーナは
突然の展開に驚き動揺し
一度は気持ちのこもったダンスをしながらも

オネーギンとタチヤーナの気持ちのこもったダンス

毅然として 
かつてオネーギンが自らにしたように
彼の前で手紙を破り捨て 立ち去るように命じ
ひとり物思いにふけるのでした

物思いにふけるタチヤーナ


ね かなりストレートで
ある意味でベタな(笑)お話でしょう?


酷い男のオネーギンを演じるのは
ジゼルでも酷い男を演じていた
パリ・オペラ座バレエ団が誇るスターの
マチュー・ガニオ

マチュー・ガニオ

彼をお目当てに来た女性たちも 
多かったことでしょう

一方 タチヤーナを演じたのは
エトワールの
アマンディーヌ・アルビッソン

アマンディーヌ・アルビッソン

正統派の華がある美人バレリーナさんですが
でも 彼女もジルベールさんに負けず劣らず
見事な表現力 演技力を見せてくれました

アマンディーヌ・アルビッソン

特に最後の方で
揺れ動く気持ちを自分自身に問いかけながら
思いを振り切るようにオネーギンに別れを告げる

そんな一連のシーンは
バレエというより芝居を観ているようでした

セリフがないのに
ダンスと表情だけで 
見事にストーリーに惹きこんでしまう

ジルベールさんにも アルビッソンさんにも
共通して見られた
バレリーナの域を超えた女優のような深い表現力

これが 他のバレエ団には見られない
パリ・オペラ座バレエが育んできた
エスプリなのでしょうか?

勢ぞろいしたパリ・オペラ座バレエのダンサー

舞踏会のシーンで見られた
10組以上の男女ペアが一糸乱れず 
優雅に力強くスピーディに踊る群舞にも
度肝を抜かされました

優雅に力強くスピーディに踊る群舞

いやー ジゼルとオネーギン
ふたつの演目を観て
伝統のあるパリ・オペラ座バレエ団の底力を
見せつけられたような気がしました

ボリショイとも 
ハンブルグとも 
英国ロイヤルとも異なる
気を衒わない正統派の技術と表現力とドラマ性

公演の最終日だったので
カーテンコールは延々と20分以上続き

全員総立ちの客席と
裏方さんも全員出てきて歓声に応える舞台上が
一緒になって気持ちの交換をするような
ちょっと感動的なひとときを
味わうことができました

公演のパンフレット

再度 パリ・オペラ座バレエ団 さすがです!
高橋医院