日本内科学会は4/12に
「新型コロナウイルス感染症に関する
 緊急シンポジウム」
を開催しました

もともとこの週末には
内科学会の年次講演会が開催される予定でしたが
コロナ騒動で8月に延期になり
このシンポジウムも
オンラインでの配信になりました

で 書き手も拝聴して 
とても勉強になったので
コロナについて興味津々の読み手の皆さんに
演者の先生方が使われたスライドを一部拝借して
内容をご紹介しようと思います


最初に疫学と今後の動向」について
国立感染研究所の鈴木基先生が講演されました

@軽症例が多い

新型コロナウイルス感染症は
軽症例が80%と多いのが特徴で
そうした人の多くは
ほとんど症状がないか あっても軽度です

軽症例 重症例 死亡例の数的分布を示すグラフ

しかし 残りの20%は重症以上になり
死亡される方も少なくありません


@臨床経過

鈴木先生たちが行われた
武漢から帰国された日本人を対象にした分析では

平均5日ほどの潜伏期を経てから
なんらかの症状をともない発症し
そこから平均6日ほどで診断に至ります

臨床経過を示す図

多くの患者さんを診られている
国立国際医療研究センターの忽那先生は

新型コロナウイルスは
発熱 せき 喉の痛み 鼻水といった
かぜのような症状で始まり

普通の風邪やインフルエンザは 
数日で症状が改善するけれど
新型コロナでは
数日以上 だらだらと症状が続くのが特徴
と言われていました


3月に厚労省から発行された
新型コロナウイルスの診療の手引きにも

1週間程度のかぜ症状が続き
80%の患者さんは
軽症のまま治癒するけれど

残りの方は
肺炎症状が増悪して入院になり

悪くなる場合は
7~10日目にかけて症状が急激に悪化する
と書かれていました

診療の手引きに書かれた典型的な臨床経過図

やはり4~5日たっても症状が改善しない場合
要注意のようです

また 症状が乏しい場合でも
CT検査をすると
特徴的な肺炎像が見られることも
あるようです

CTで見られる特徴的な肺炎像
CTで見られる特徴的な肺炎像その2

@患者さんの性別 年齢分布

患者さんの 60%は男性

年齢分布は

*20歳以下は3.5%ですが

*20~60歳までは
 各年代でほぼ均等に分布して
 全体の68%を占め

*60歳以上は28.7%でした

患者さんの性別 年齢分布を示したグラフ

最近の東京都の感染者の検討では
20~50代の方の感染が増えているようです

東京の感染者の年齢分布を示すグラフ


@初期症状

患者さんの80%に発熱 咳を認め

全身倦怠感は約50%に 

咽頭痛は30%ほどに

認めるようです

初期の症状別の頻度をまとめた図

最近話題の嗅覚 味覚異常
今回のデータには示されていませんでしたが
忽那先生は
30%ほどに見られると言われていて
意外に多いのですね


@重症化する症例

ICUでの管理や人工呼吸器の使用が
必要となる重症例は
ほとんどが60歳以上でした

年齢別の重症化例の割合を示す表

診療の手引きにも
致死率は60歳以上で高くなることが
記載されています

年齢別の致死率を示すグラフ

@重症化のリスク要因

重症化のリスク要因としては

*男性

*60歳以上

*糖尿病 高血圧 脂質異常症などの基礎疾患

があげられます

重症化のリスク要因を示す表

男性が多いのは
喫煙が関係しているのではないかと
推測されています


@最初は無症候でも悪くなる場合がある

最後に演者の鈴木先生は

この病気は
確かに症状に乏しい無症候性の方が多いけれど

無症候性の方の約半数が
3.5日ほどでなんらかの症状を示すようになり
その一部は人工呼吸器の使用が必要なほど
重症化することがあったそうで

無症候性の方たちの経過をまとめた図

無症候性の方も
充分に注意して経過観察すべきだと
警鐘を鳴らされていました
高橋医院