ジャック・アタリが語るパンデミック
NHKは 「パンデミックが変える世界・海外の知性が語る展望」 という番組を 4月中旬に放送しました フランスの経済学者・思想家 ジャック・アタリ イスラエルの歴史家 ユヴァル・ノア・ハラリ アメリカの国際政治学者 イアン・ブレマー の3人に個別にインタビューした番組です まずは アタリさんから アタリは このブログで何回も紹介した 欲望の資本主義シリーズの常連さんなので 馴染みがあります ヨーロッパを代表する知性と評されていますが 個人的には まあ 好きな部類に入るかな?(笑) インタビューアーさんが 前もって準備したいくつかの質問を投げかけ 彼がそれに答えます @パンデミックが世界経済に及ぼす影響 1929年の世界恐慌を上回りかねない最悪の危機 リーマンよりはるかに深刻で 世界経済の損失は GDPの20%にも及ぶ可能性がある 政府や中央銀行は 今できることは全てしているが 根本的な解決でなく 結果を先延ばししているだけ 根本的な解決は ウイルスがコントロールできることですよね それまでどうやってしのいでいくのか? 今や 感染症のコントロールより 厄介な問題だと思います @パンデミックは世界をどう変えるか? 健康だけでなく 市場経済 民主主義への脅威で 最悪のシナリオは 世界恐慌 失業 インフレ ポピュリスト政府の誕生 長期の不況による暗黒時代の到来 もし国家が危機を克服できないと証明されたら 市場と民主主義は崩壊してしまう 新しいテクノロジーにより 国民の徹底した管理を進める独裁政権の 台頭の危険性があり 彼らはパンデミックを独裁の口実に利用する しかも市民は 危機に際して自由より安全を選び 強い政府を支持するようになる 連帯のルールが 利己主義により破られるリスクが極めて大きく 経済的孤立主義が高まるリスクもある 今こそ バランスのとれた連帯が必要とされる と やや悲観的に答えます 目新しい予想はありませんが でも ホントにそうなってしまうリスクは 大きいのでしょうか? @人類史的にみて 新型コロナはどのような意味を持つ? 権力の変容が起こる 歴史を顧みると 大きなパンデミックでは権力の変容を生んできた 15世紀頃には ペストの発生を機に権力が 教会から感染者を隔離する治安当局に移った その後に起きたパンデミックでは 人々は科学が問題を解決すると考えるようになった 今回の新型コロナでは テクノロジーが力を持っている 問題は テクノロジーを全体主義の道具とするか 利他的かつ他者と共感する手段とすべきかで 私が考える「明日の民主主義」は後者だ ここまでは比較的あたり障りのない まあ ちょっと退屈ともいえる(苦笑) インタビューでしたが ここから熱が入って面白くなってきます
高橋医院