新型コロナウイルスの
PCR検査については
日本での検査数が少ないことが
ずっとマスコミ等で喧伝されてきました

ニュース解説番組などで
訳知り顔のキャスターさんたちが
鬼の首を取ったように
「どうしてこんなに検査数が少ないのですか?」
とコメンテーターを問い詰めるさまを
あれま~ という感じで見ていました(笑)

日本でのPCR検査の少なさの理由を問うポスター


この病気は 指定伝染病にされたので
PCR検査で陽性になると
たとえ無症状でも必ず入院せねばならず

それでは
重症者用のベッドの確保に差し障りが出る
という事情もあり
検査を受けられる基準が
厳しくなっていたのでしょう

そうした対策は
ある程度は功を奏したと思います


しかし
感染経路不明の患者さんが増えてきたし
無症状 軽症者を
入院でなくホテルに隔離する体制も
整ってきたので

これからは
どんどんPCR検査を増やして
無症状 軽症の患者さんを
早目に隔離していくことが
重要な指針に変わりつつあります

PCR検査を増やす局面であることを訴えるポスター


そんななかで
注目され始めたのが PCR検査の陽性率です

山中先生がご自身のブログで書かれて
ここ数日で
世間での認知が一気に広まったようです


陽性率は
PCR検査を行った人たちのなかで
何パーセントが陽性だったか
ということですが

この値の多寡により
感染にまつわるさまざまな状況が
見えてくるのです

都道府県別のPCR検査の陽性率を示す表


まず この値が高いと
感染が猛威を振るっていると推測されます

感染者が増えれば
陽性率が高まるのは当然で
東京の陽性率は感染者数の増加に比例して

東京での感染者の経時的推移を示すグラフ
どんどん上昇しています

東京でのPCR検査陽性率の経時的推移を示すグラフ

東京では40%に達する勢いです

検査したらヒットする確率が
高いということは
それだけ社会の中にいる感染者数が多い
ということです

しかも日本では
まだ重症者を優先に検査していますから
拾えていない無症状や軽症の感染者が
たくさんいると推測されます


日本では
感染が疑われる人を優先的に検査しているから
陽性率が高いのでは?
という疑問もあると思います

書き手も最初はそう思いましたが
同じような条件で検査しているのに
東京の陽性率は
2~3月より4月の方が着実に上がっています

だからやっぱり
感染経路が追えない市中感染の人が増えていて
しかも そういう人を拾いきれずに
街中に放置してしまっているという状況で
確かにこれはまずいかもしれません

もっとPCR検査数を増やして
どんどん感染者を隔離していけば
感染の勢いも減るし
陽性率も減ることでしょう

ちなみに
充分に検査をしている国の陽性率は低く
ドイツは7% 韓国は3%だそうです


もうひとつ気になるデータが
千葉大学から発信されています

PCR検査の陽性率が7%未満の国の
人口補正した死亡者数は
それ以上の国の15%に過ぎない

というのです

PCR検査の陽性率が高い国では死亡者が多いことを示すグラフ

つまり
陽性率が高い国は低い国より
たくさんの患者さんが亡くなっている

そして 陽性率が2%以下の国では
死亡者の減少傾向が見られる国が多いそうです


このデータからも
感染を制御して死亡者数を増やさないためには
PCR検査数を増やし
対象を無症状 軽症者まで広げて
陽性率を低下させることが重要と考えられます

PCR検査の陽性率に
注目した方が良いようです
高橋医院