睡眠時無呼吸症候群の症状について説明します

<覚醒時の症状>

起床時の爽快感の欠如 倦怠感 頭重 頭痛
*頭痛は30分以内に消失するが 月に15回以上ある
日中過眠 記憶力・集中力低下 疲労感
*性欲低下 インポテンツ

などが見られます

覚醒時の症状について説明した図

うつ状態も珍しくなく
*閉塞型睡眠時無呼吸症候群の18%がうつ
*うつの18%が閉塞型睡眠時無呼吸症候群
と報告されています

うつとの関連について説明した図


<睡眠時の症状>

睡眠中交互に繰り返される いびきと呼吸停止
*呼吸再開時の覚醒反応にともない
 四肢を激しく動かす 顔や胸を手でこする
*もがくように体位を変える 寝返りを何回もうつ
*寝汗をかく
*夜間の不眠 特に中途覚醒
*夜間頻尿

などが見られます

いびき 呼吸停止
家族や職場の人から指摘されることが多いのが特徴です

睡眠時の症状 特にいびきの危険性を警告する図

@いびき

無呼吸から呼吸が再開されるときに
大きないびきが起こります

狭窄している気道を空気が
勢いよく通過するために生じる振動音です

いびきの特徴として
*仰向けに寝ていると特に大きくなる
*音に強弱がある
*一晩中続く
*昔より大きくなり音が変わった
*突然 息が詰まったように途切れる
*口を開けて呼吸している
といったことが観察されています

重度のいびき(睡眠時間の50%以上)は
内頚動脈の動脈硬化のリスク因子
年齢 性別 喫煙 高血圧よりも
強い予測因子とされています


気道の閉塞が強くなると
単純いびき症→上気道閉塞症候群→閉塞性睡眠時無呼吸症候群
と進行していきます

単純いびき症では
無呼吸は起こらず AHIは5未満です

単純いびき症でも 心血管疾患のリスクがあるので 
慎重な経過観察が必要です

上気道抵抗症候群では
AHIは5未満ですが
疲労感 日中の眠気などの症状を認めます


<日常生活での問題>

日中の眠気のため 
思うように日常生活が送れなくなり
何かに集中することができなくなり 
仕事にも支障をきたします

日常生活での問題について説明した図

運転中に高率に眠くなり
交通事故を起こす危険性が著しく高くなり
複数回の事故経験率が2.4倍増えます

交通事故を起こす危険性が著しく高くなることを示した図

抑うつ 不眠 男性の勃起障害などで
日常生活や性生活に
悪影響を及ぼしたりすることもあります


<睡眠時無呼吸症候群を疑わせる所見>

@日常生活

*家族 友人などからいびきが大きいと指摘されたことがある
*寝汗をかくことが多い
*肥満 または最近体重が増えた
*あごが小さい あごが引っ込んでいる
*舌 扁桃腺 のどちんこが大きい
*鼻が詰まりやすい 慢性的な鼻の病気がある
*口を開けて呼吸していることが多い
*高血圧 糖尿病 脂質異常症がある
*お酒をほぼ毎晩飲む 寝酒の習慣がある
*タバコを吸う
*更年期の女性
*いつも日中眠い
*会議中などに眠りこんでしまったことがある
*朝起きたときに頭が重い 爽快感がない
*眠くて仕事や家事に集中できない
*意欲や判断力が低下してきたように感じる

これらの3つ以上あてはまると
睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます

@顔の特徴

首が短くて太い
下顎が小さく奥に引っ込んでいる
鼻が低く 平べったい
舌が大きい
といった外観が特徴とされます

睡眠時無呼吸症候群になりやすい顔貌を説明する図

@血圧 検査所見

*治療抵抗性の早朝・夜間高血圧

治療抵抗性の早朝・夜間高血圧を合併しやすいことを示すグラフ
*左室肥大 心不全 心房細動 心室性不整脈
*メタボリック症候群
*CKD

などの患者さんでは 睡眠時無呼吸症候群の存在を疑います
高橋医院