睡眠時無呼吸症候群の診断 重症度 生命予後
について解説します

<診断>

@症状 兆候

*睡眠中に 
 息こらえ あえぎ 窒息感を感じて覚醒する

*観察者が 習慣性いびき 呼吸の中断の
 いずれかを確認する

*日中に 眠気 疲労 
 不眠 充足感のない睡眠 を訴える

といったことが典型的です

症状 兆候について説明した図


@重要なサイン

*いびき

*無呼吸

*日中の眠気

が特徴的で 見逃してはいけないサインです

いびき 無呼吸の危険性を指摘する図


@エプワース眠気尺度(ESS)

自覚的な眠気の評価のために行います

*座って本や雑誌などを読んでいるとき
*座ってテレビを見ているとき
*会議 映画館 劇場などでしずかに座っているとき
*1時間以上自動車に乗っているとき
*午後に横になって休んでいるとき
*座って人と話しているとき
*昼食をとったあと 静かにすわっているとき
*座って手紙や書類を書いているとき

これらの際に うとうとする可能性が
・ほとんどない 0点
・少しある 1点
・半々くらいある 2点
・高い 3点
で 点数をつけます

11点以上は眠気あり 16点以上は重症 です

エプワース眠気尺度

自己評価なので
変動幅が大きく 過小評価が起こりやすいのが問題で
家族 同僚などの意見も聞く方が正確です


@簡易モニター検査

スクリーニング検査として
自宅で就寝中にモニターを装着して行います

2週間ほどで結果が判明します

保険診療で3000~5000円でできます

簡易モニター検査について説明した図


@パルスオキシメータ

指先に機械をつけて
血中酸素飽和度 脈拍数を測定します

パルスオキシメーを装着している人

ODI 酸素飽和度低下指数
1時間あたりに酸素飽和度が
3~4%低下した回数がわかります


@エアフローセンサー

鼻孔にセンサーをつけて
鼻の空気の流れ いびきを調べます

これにより
AHI 睡眠1時間当たりの無呼吸 低呼吸の回数
の合計がわかります

エアフローセンサーについて説明した図

AHIが5以上なら 可能性が高いと判断し
ポリソムノグラフィ検査の施行を推奨します

脳波検査をともなわないので睡眠時間が正確でなく 
AHIが低く出る可能性もあり

5未満でも 日中の眠気 いびきがあれば
ポリソムノグラフィ検査を行います

AHIが40以上だと
重症と判断され CPAPの保険適応になります

脳波測定を行わない簡易検査ですが
中等~重症の症例では
ポリソムノグラフィ検査とかなり高い相関性で診断できると
されています


@ポリソムノグラフィ(PSG)検査

確定定診断のために
1泊の入院で睡眠状態と
無呼吸・低呼吸の程度を解析します

就寝中の睡眠状態 呼吸状態を
総合的に評価する検査で

睡眠状態は
脳波 眼球運動 下顎部分の筋電図により

呼吸状態は
エアフローセンサ(鼻・口の気流) 動脈血中酸素飽和度
胸腹部の動き 下肢の動き 心電図
により

それぞれ評価します

ポリソムノグラフィ(PSG)検査を受けている人

脳波により正確な睡眠時間が測定できるので
最も正確なAHIが算出されます

*上記の症状・兆候があり AHIが5回以上
*症状の有無に関わらず AHIが15回以上

の場合は 閉塞型睡眠時無呼吸症候群と診断されます


@疑うべき患者さん

*高血圧 冠動脈疾患 脳卒中 うっ血性心不全 心房細動
*脳卒中
*糖尿病 認知能力低下

などの患者さんでは 睡眠時無呼吸症候群を疑う必要があります


<重症度>

@軽症

AHIが5回以上15回未満

@中等症

AHIが15回以上30回未満

これらに該当する方は 要治療となります

AHI≧15では
将来的に高血圧や心血管障害などの合併症をきたす可能性が高い報告されています

@重症

AHIが30回以上

血中酸素飽和度は
60%にまで落ち込むこともあります

重症度を説明する図


<生命予後との関連>

放置すると8年後の生存率が低下します

AHIが
20以下では96% 
20以上で63%
の生存率で

放置すると8年後の生存率が低下することを示すグラフ

高血圧 糖尿病 心血管疾患で死亡することが多く
心血管疾患による死亡率は5.2倍高くなります

高血圧 糖尿病 心血管疾患で死亡することが多いことを示すグラフ

またAHIが20以上の患者さんが
無治療で放置されると
9年後には40%が心血管疾患 交通事故などで死亡するとの
報告もあります

しかし CPAPによる治療により生存率の低下は改善します

CPAPによる治療により生存率の低下は改善することを示すグラフ
高橋医院